先物取引が現物市場を大きく動かす
実際、HFTは、現物の株式売買だけでなく、先物、さらに株式以外の金融商品も組み合わせ、相場を動かしている。
例えば、日経平均株価が1日に数百円単位で下落した後、急に上昇するといったことはよくあるが、日経平均先物、TOPIX先物、JPX400先物などへの大量の注文がこうした相場を動かす原動力になっている場合が珍しくない。つまり、先物市場の乱高下が現物株式を大きく動かしているという構図だ。
株式の現物と先物の平均売買代金を比較すると、東証1部の場合、先物の売買代金が現物の2倍に達する売買の主体で見ると、現物の売買代金に占める外国人投資家の比率は、最近では70~75%に高まっているが、先物では外国人の比率がさらに上がって85%程度に達するという。「こうした状況は2015年夏ごろから顕著となっている」(市場関係者)。外国人投資家による先物を活用した取引がHFTの大部分を占めるといってよさそうだ。
さらに、株式の現物と先物の間だけでなく、商品相場などもからむといわれる。たとえば、原油価格の動向と密接に関連したヘッジ取引が代表的で、原油価格下落の損失を日本株先物の売りでヘッジするといった具合だ。相場がどう動いたときに、何をどれだけ売買するのが最適か、AIが瞬時に判断し、売買を命令し、取引を実行する――これを1日中、繰り返す。