企業PR「動画の黄金時代」が到来した!
―― 注目しているコンテンツはありますか。
ジョン・サンダース 豊富なコンテンツがありますが、なかでも言語(文章)と映像でメッセージを伝えることができる、ビジュアル効果は重要です。企業PRにおいてはインターネットでの発信を含めた、「ビデオ(動画)の黄金時代」が到来したといえるでしょう。
―― 日本企業がグローバルなPR展開する際、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
ジョン・サンダース 現在のブランディングの問題点は、消費者へのメッセージが「一方通行」なこと。企業側が言いたいことだけを発信しています。そのコントロールを変え、消費者が自分のことのように受けとめることができるメッセージに変える、「意識改革」が重要なのです。
わかりやすく言えば、より第三者的な目線で企業やブランドのストーリーが語れるかが試されているのです。難しいかもしれませんが、いま考えを改めてチャレンジしなければ、グローバル企業として前進することはできないかもしれません。
しかし意識改革を実現すれば、消費者との関係も緊密になり、株主価値を高めることにもつながります。従業員の意欲、価値を高めるためのコミュニケーションにも使えるので、社内の求心力をつけることにもなります。つまり、企業価値そのものを高めることができるのです。
企業が消費者と密接な関係をつくるには、企業のオウンドメディアが中立的でジャーナリズム的な観点から情報を提供することが、とても重要になるのです。グローバルな企業はこの考えをベースにしています。われわれは、この考え方から「ブランドジャーナリズムセンター」を立ち上げました。広報、ネイティブ・アド、オウンドメディアと、すべてがかかわり合うことができる素晴らしいコンテンツをブランドとともに創造することが可能になります。
ジョン・サンダース氏 プロフィール
1990年フライシュマン・ヒラード・サンダース(現フライシュマン・ヒラード)を設立。2004年10月に欧州地域ディレクターに着任。2007年に欧州・ユーラシア地域の代表、2011年から欧州・中東・アフリカ地域(EMEA)の代表を務め、アムステルダム、ベルリン、ブリュッセル、ダブリン、ドバイ、ヨハネスブルク、ロンドン、ミラノ、パリ、プラハ、モスクワなど、EMEA全域のパートナーとの関係構築にあたった。2015年11月に、70年の歴史を誇るフライシュマン・ヒラードの第4代代表取締役兼経営最高責任者(CEO)に就任した。
2005年からは2年間、世界的にPR業界を代表する組織「The International Communications Consultancy Organisation(ICCO)」の代表を務めた。世界経済フォーラムの欧州・ 中央アジア委員会、欧州コミュニケーション・サークルのメンバーでもある。
担当したクライアント企業には、アボット・ラボラトリーズ、アンホイザー・ブッシュ、バリモア・プロパティーズ、エマーソン・エレクトリック、フルーツ・オブ・ザ・ルーム、三菱電機、マスグレイブ・グループなど多岐にわたる。
アイルランド・ダブリン生まれ、58歳。