関東に偏る店舗展開も逆風に
三越伊勢丹HD固有の状況として、百貨店業界の中で店舗展開が関東中心となっていることもインバウンド消費に影響している可能性がある。リピーターが増える訪日外国人の訪問先が京都など西日本中心になっているとされているためだ。明確な統計はないが、関西でホテルの予約が取りにくい状況が続いているとの指摘は観光業界でよく聞かれ、インバウンド消費が「西高東低」に傾きつつあるとの見方は多い。三越伊勢丹HDにとっては明らかな逆風だ。
このため、株式市場の見方はシビアで、三越伊勢丹HDの株価は2015年7月に上場来高値をつけた後、つるべ落としに下がり、2016年5月には前年につけた上場来高値の半分以下の水準に落ち込んでいる。
ともあれ、国内富裕層と訪日外国人の消費動向の潮目は2016年の年初以降、明らかに変わった。三越伊勢丹HDの業績を上向かせるには、企業としての抜本的な構造改革が欠かせなくなっている。