「こちらの非は非として、認められる部分はまず率直に認める」
中でも特に目を引くのが「トラブルが発生した際の交渉テクニック」だ。
「譲歩+妥協=有利な展開
1 こちらの非は非として、認められる部分はまず率直に認める。
2 相手が熱くなって発言してきたら、それには答えず、気のすむまで話をさせる。言いたいことを言い尽くすと人間は突如素直になるものだ。
3 一番傷の浅い部分で、妥協できるところは妥協する。それが、最終的に強い態度に出るための一番のコツ。」
これらの交渉テクニックに着目すると、舛添氏の会見での言葉の選び方の意図が推測できる。
疑惑表出以降、記者会見が繰り返されているが、舛添知事は、謝り所に関して非常に気を配った言葉選びをしている。
海外出張での豪遊疑惑、公費による週に1度の湯河原通い、政治資金収支報告書への虚偽記載疑惑に関する一連の会見内で「非」として認めているのは、騒動になったことで「都民に迷惑をかけている」という点だ。調査の結果判明した私的な支出についても謝罪をしているが、これも「都民に迷惑をかけた」ということが主な原因だ。全体としては、法的に問題が無いというスタンスを貫いている。
会見中繰り返される「批判は謙虚に受け止める」、「現在精査中」という言葉と対応は、不確かな返答を避けるためという意図に加え、テクニックその2「気のすむまで話をさせる」の実践のように見える。
5月13日の会見中にも、「まずは週刊文春の記事内容について」と言い、それ以外に関する質問への返答を避けていたのは、その表れと言える。批判が出尽くすのを待っているのだろう。
そして、今後下される決断は、最後のテクニックである「一番傷の浅い部分で、妥協できるところは妥協する」にあたる可能性が高い。どこが「一番浅い傷」になるのか、妥協できるのか、会見を繰り返しながら見極めているのかもしれない。