米ニューヨーク・タイムズ紙のマーティン・ファクラー前東京支局長が2016年5月19日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で講演した。ファクラー氏は09年2月から15年7月まで東京支局長を務め、16年2月に出版した『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』(双葉社)では、記者クラブ制度や政権に対する「忖度(そんたく)」が進む日本メディアのあり方を批判している。
「パナマ文書」念頭に「力合わせればできるかも」
講演会は、J-CASTニュースなどネットメディアでつくる日本インターネット報道協会(INAJ)が主催。ファクラー氏は、
「読者にとって、信じるものがないという『空白』ができている。違う見方をすれば、新しいジャーナリズムを求めているということだ」
などと、読者がメディアに対する信頼を失っているとしながらも、いわゆる「パナマ文書」は、世界中のジャーナリストでつくる「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が入手・分析したことを念頭に、
「力を合わせればできるかもしれない。読者が求めるジャーナリズムが実現すればチャンスかも知れない」
と、新たな調査報道やジャーナリズムの形に期待を寄せた。