女子バレーボールのリオ五輪最終予選で、日本はタイに劇的な逆転勝ちをしたが、タイ側からは不満の声が相次いでいる。試合は、フェアではなかったというのだ。
「レッドカードというのは、あまり見たことがありません。それも2枚というのは、これまでの記憶にないですね」
タイの監督に「遅延行為」の判定
日本バレーボール協会の広報担当者も、J-CASTニュースの取材に対し、今回の試合についてはこう漏らす。
最近力を付け五輪初出場を狙うタイだけに、日本は、2016年5月18日の試合で大苦戦し、フルセットの最終第5セットにもつれ込んだ。
試合では、両チームとも、ビデオ判定を要求する「チャレンジ」がセット内で2回失敗までできる。第5セットでも、日本やタイが次々にチャレンジして、その度に試合が中断された。審判でさえ、判定に自信がもてずに「レフェリーチャレンジ」をするほどの混戦だった。
最初のレッドカードが出たのは、日本が8対12で負けていたときだ。
タイの監督がまたチャレンジを行い、今度は日本がコートのセンターラインから足がはみ出ていたのではないかという指摘だった。ところが、5秒以上経っているということで認められない。そこで、試合を中断するタイムアウトを取ったが、終わったところで、メキシコ人の主審がタイに遅延行為があったとして右手でレッドカードを掲げ、場内が騒然となった。
レッドカード2枚目は、日本が13対12と大逆転したときに出た。
選手交代は、タブレットのタッチパネルを使って告げることになっているが、それがうまくいかずに交代が認められなかったとタイの監督が抗議し始めた。これが遅延行為とみなされたのだ。
「これはスポーツではない。日本のショーだ」
レッドカードが出ると相手側に1点が入ることになっており、これで日本はマッチポイントを迎えた。ブロックされて1点を取られたものの、その後にスパイクが決まってタイの追撃を振り切った。
ところが、朝日新聞などによると、タイの監督は、試合後に審判に対して不満を爆発させた。2度のレッドカードについて、「なぜそうなるのか理解できない」「タイチームにとってアンフェアだ」とまくし立てた。日本批判に近いニュアンスで、「これはスポーツではない。日本のショーだ」と指摘したという。ただ、「試合が終わってしまったので、認めるしかない」ともこぼしたとしている。
タイのメディアでも、試合への批判が出ており、物議を醸すほどの審判の判定だったとして、国際バレーボール連盟などに意見書を出す動きも出ていると報じた。
キャプテンの木村沙織選手(29)のインスタグラムには、英語やタイ語で非難が次々に書き込まれている。「審判は金が好き」「恥を知れ」といった誹謗・中傷もあり、これに対する木村選手への擁護も書き込まれて、コメントが5月19日夕現在で3000件ほどにも達している。
日本のネット上でも、試合については議論になっている。「いつも日本開催だから、ショーと言われても仕方はない」「同じ日本人としても後味は悪い」とタイの言い分に理解を示す声はあった。一方で、「明らかな遅延行為だった」「監督さんが文句言わなければ勝てましたよ」「選手が気の毒だね」などとタイ側に落ち度があったとする指摘も多く出ている。