最近、「シンデレラ体重」がネットやテレビなどで話題になっている。10代女子の「理想の体重」のことだ。
シンデレラのようにほっそりした方がキレイでオシャレだし、もしかしたら素敵な王子様に巡り合えるかも......。乙女心をくすぐるネーミングだが、専門家の中には「痩せすぎ」との指摘もある。
理想体重になるために10キロ減量
シンデレラ体重は2016年3月に入って、10代女子向けの情報サイト「マイナビティーンズ」や、「R25」などで紹介され、注目されるようになった。
そもそも「シンデレラ体重」とは何なのか。NHKが5月13日に報じたところによると、エステサロンの「たかの友梨ビューティクリニック」が20年以上前に考案したもので、当時の計算式は、「身長×身長×22×0.9」(単位はメートル)だったという。
同クリニックのウェブサイトには、「シンデレラ体重(理想体重)は、標準よりやや軽め。ダイエットというと体重ばかり気にしがちですが、バランスのとれた健やかなボディをめざします」とあり、数値ばかりを重視したものではない。
最近、話題になっている「シンデレラ体重」は元々の値よりもさらに低体重。「身長×身長×20×0.9」(単位はメートル)とされている。例えば158センチの人は44.9キロが理想となる。
文部科学省の平成27年度学校保健統計調査によると、17歳女子の平均は約158センチ、体重は53キロだから、理想を追うと10キロ近くもダイエットすることになる。
逆に太りやすい体質になる可能性も
10代は体をつくるのに大切な時期。体重ばかりを気にして無理にダイエットすると、食事の栄養バランスが偏りがちだ。成長期に行うと、今ある健康を失うばかりか、成人後の健康にまで影響する可能性があり、危険だと専門家は警告する。
栄養療法を専門とする新宿溝口クリニック院長の溝口徹医師は、ダイエットのために肉などを控える人が多く、それが深刻な問題を引き起こすという。
「一番問題なのは、鉄の不足です。いわゆる貧血と診断されなくても、体内の貯蔵鉄や組織鉄が減少すると、生理不順やうつなど様々な問題が生じる原因となります」
また、肉を食べないことは、たんぱく質不足にもつながる。
「たんぱく質を十分にとらないと、筋肉量が低下して代謝が悪くなります。するとダイエット後に太りやすい体質になり、リバウンドしやすくなる可能性も。それに免疫力も低下するので、風邪にかかりやすくなったり、重症化するようになったりと良くないことだらけです」
ほかにも、20歳前のたんぱく質不足は、十分な骨量を達成することができず、将来的に骨粗鬆症のリスクを上げることになるという。
健康を損なうことなく、魅力的なプロポーションを保つにはどうしたらいいのだろうか。
「いまの自分に必要な栄養素を正しく理解し、必要な栄養素が不足しないように徐々にダイエットすることが重要です。将来的に太りにくくなり、肌も美しく、そして骨粗しょう症の予防まで考えると、『高たんぱく+低糖質』の食生活を意識しましょう」と溝口医師。
そして運動をすることも大切だという。とくに、食後すぐに散歩をする習慣をつけることを勧めている。[アンチエイジング医師団取材TEAM/監修:溝口徹 新宿溝口クリニック院長]
アンチエイジング医師団
「アンチエイジングに関する正確で、最新かつ有効な情報」を紹介・発信するためにアンチエイジング医学/医療の第一線に携わるドクターたちが 結成。 放送・出版などの媒体や講演会・イベント等を通じて、世の中に安全で正しいアンチエイジング情報を伝え、真の健康長寿に向き合っていく。HPはhttp://www.doctors-anti-ageing.com 2015年4月から医療・健康・美容に関する情報サイト「エイジングスタイル」の運営も開始。