「おいおいスズキもかよ」全車種210万台で燃費不正測定 鈴木修会長、進退質問に「いまは控えさせてほしい」

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   三菱自動車工業で発覚した燃費データの不正問題が、今度はスズキが製造する軽自動車「ワゴンR」や「アルト」、「ハスラー」や登録車の「ソリオ」などの16車種で発覚した。

   三菱自の燃費データ不正問題を受けて、国土交通省は他の自動車メーカーに対しても同様の不正がないかを報告するよう求めていた。スズキの鈴木修会長(86)は2016年5月18日夕、国交省に社内での内部調査の結果を報告した。

  • スズキの鈴木修会長は「深くお詫び申し上げたい」と陳謝した。(国交省での記者会見で)
    スズキの鈴木修会長は「深くお詫び申し上げたい」と陳謝した。(国交省での記者会見で)
  • スズキの鈴木修会長は「深くお詫び申し上げたい」と陳謝した。(国交省での記者会見で)

燃費の修正はなく、生産・販売を続ける

   記者会見場となった国交省は、押しかけた報道陣でごった返していた。

   スズキの説明によると、これまで国交省に申請していた測定方法は、国の定める「惰行法」と呼ばれる実測データではなく、タイヤやブレーキ、トランスミッションなどの装置ごとの転がり抵抗の実測値や風洞試験装置での空気抵抗の実測値を積み上げた「走行抵抗値」を使っていた。

   鈴木修会長は、「結果として定められた当時の測定方法を用いていなかったことについて、深くお詫び申し上げたいと思います」と、神妙な面持ちで深々と頭を下げた。

   スズキによると、社内で燃費改ざんの有無や燃費性能を算出する際のデータの測定方法が国の定める「惰行法」に適合しているかを調査した過程で、測定方法に不備があることがわかったとしている。

   対象となる車種は、2010年以降に販売した16車種で、合わせて210万台にのぼる。本田治副社長も、「みんな(他の自動車メーカー)がきちんと守ってきた測定方法を守れなかった。大変申し訳ありませんでした」などと陳謝した。

   ただ、燃費性能を実際よりも良く見せかけるデータの改ざん行為は否定。鈴木会長は「違法性は認識していなかった」と強調した。

   データ不正の原因については、申告走行試験を行う相良テストコース(静岡県牧之原市)が海に近く、丘の上にあることから風の影響を著しく受けるなど、「天候に左右されるため試験が困難だった」ことが背景にあるとみている。

   スズキは、低燃費技術の向上に伴う転がり抵抗の低下や車体の軽量化で、風による影響を受けやすくなってきており、測定結果のばらつきが大きくなる傾向にあるため、「データを取得するためには何度も繰り返して測定する必要があった」と説明。本田副社長は、「不安定な作業の中で、より効率的に的確なデータを得たかった。燃費性能を上げたいとの意図はなかった」と語った。

   また、燃費性能への影響は「実測値の上下5%程度だった」(本田副社長)と話し、16車種のすべての申請値が国の定める惰行法による実測値との「誤差の範囲内」であることを確認。それを理由に、国交省に対する申請値も修正しない方針。ユーザーに対しても、「販売時のカタログに表示している値と違いはなく、引き続き安心してお乗りいただきたい」と話している。排出ガス性能も、保安基準に適合しているという。

   スズキは今後も、16車種の生産・販売を続けていく。

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