誘致コンサル料振込問題の影響は
いうまでもなく、野球・ソフトボールは東京五輪のいち押しの競技である。理由は、野球は日本で最も人気がある、スポンサーが付きやすい、球場はあるので新たに造る必要はない――など。
日本からすれば、しごくまともで採用に支障がない。ところがヨーロッパの五輪関係者からすると、ほとんどなじみのない競技だし、規則が難しく理解するのが困難。野球・ソフトボールの復活を強力にバックアップしてきたIOC委員が昨(15)年急死したことも影響しているという。
東京五輪組織委員会の森喜朗会長がテレビ出演し、複雑な表情を見せたのも、関係者の不安を表すものだろう。
やはり大リーグの不参加は大きいと認めた。「五輪は最高レベルの競技者の大会」の条件を満たさないということである。また、6か国でのメダル争い、というのも影響することになる。
6月初め、ローザンヌでIOC理事会が開かれる。そこで追加種目の案が作られ、リオ五輪前のIOC理事会で正式に決まり、総会で発表される段取りとなっている。つまり6月に外されたら落選ということである。
東京五輪はロゴ、新国立競技場建設の問題に続き、いまは東京五輪誘致のコンサル2億2000万円振り込み問題などトラブルが止まない。世界に悪い印象を与えている。それが野球・ソフトボールの採用に響かないのか、と落ち着かない。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)