旅行ガイド雑誌「るるぶ」(JTBパブリッシング)の電子版で、京都の名刹、金閣寺の写真がなぜか「シルエット」で表示されている。電子版雑誌に掲載されるジャニーズアイドルの写真のように塗りつぶされている。
J-CASTニュースの取材に応じた同社担当者は、「金閣寺から『非掲載』の意向が伝えられたため」とその理由を明かしたが...。
「るるぶ」には非掲載で「まっぷる」には掲載
JTBパブリッシングが2016年1月25日に発売した「るるぶ京都 '16~'17」の電子版。清水寺や銀閣寺、二条城、伏見稲荷など京都の定番名所を網羅したガイドブックだ。
しかし、内容を子細に見ると、奇妙な箇所が目につく。京都の観光地として、世界にその名を轟かせる金閣寺の写真が、すべてシルエット加工されているのだ。金色に輝く舎利殿はもちろん、鳳凰の金像、庭園内にある「陸舟の松」「龍門滝」など敷地内の名所の写真はすべて掲載されていない。
そのため、同誌後半に組まれた金閣寺の特集ページは空白だらけで何が何だか分からない状態だ。ど真ん中に舎利殿の写真が据えられていた表紙もやはり、塗りつぶされた部分が目立つ。
金閣寺関係で誌面に掲載されているのは、建造物や自然の造形物と無関係にみえる茶菓子と抹茶の写真のみだった。実は、金閣寺以外にも大徳寺や鞍馬寺、広隆寺といったいくつかの寺院の写真が塗りつぶされている。
電子版雑誌のシルエット加工写真といえば、思いつくのがジャニーズ事務所所属のタレントだ。紙の雑誌に掲載された写真が電子版で「塗りつぶされる」。そんな現象がしばしば起こっているのは、よく知られた話だ。
ファッション誌「セブンティーン」(集英社)の13年7月号で、ファッション誌「non-no」(集英社)の16年2月号などでみられた。これに関しては、 電子媒体への写真掲載を厳しく規制する事務所側の方針が反映されたもの、という見方がネット上で強い。
このため、今回の金閣寺のシルエット表示もジャニーズ事務所の「方針」と何か関連があるのだろうか、と考える向きも。しかし、ジャニーズ事務所が金閣寺の肖像権などを保有・管理しているとは考えにくい。「るるぶ」から1か月ほど遅れて発売されたガイド本「まっぷる京都 '17」(昭文社)の電子版には舎利殿の写真も掲載されており、金閣寺側も電子書籍への写真掲載を完全NGとしているわけではなさそうだ。