殺虫剤の耐性を身につけるため皮が分厚く進化した
シドニー大学のリリー博士らは、これらスーパートコジラミを大量に採取し、電子顕微鏡などで詳細に体を調べ、殺虫剤が効くトコジラミと比較した。その結果、トコジラミはクチクラ(角皮)という硬い皮膚で覆われているが、スーパートコジラミの皮は特別に分厚いことがわかった。様々な殺虫剤で試すと、皮が厚い虫ほど生存率が高かった。薬への耐性を身につけるために、皮が厚く「進化」したらしいという。
リリー博士は「トコジラミが殺虫剤に対抗するために培った生物学的メカニズムを解明できれば、その防御の隙を突き止められる。その弱点が新しい対策に利用できる可能性は高いと思います」とコメントしている。
トコジラミは血を吸わなくても、低温状態だと1年以上生き延びるしぶとい相手だ。2020年の東京五輪は、「おもてなし」の裏側で、この手ごわい相手との熱いバトルが繰り広げられそうだ。