覚せい剤取締法違反(所持、使用)の罪に問われた元プロ野球選手の清原和博被告(48)の初公判が2016年5月17日午後、東京地裁(吉戒純一裁判官)で開かれた。
プロ野球のスター選手だった清原被告だけに、雨の中を朝早くから、わずか20席の傍聴整理券を求めて3769人が集まるなど、関心の高さがうかがえた。なかでも、弁護側の情状証人として出廷した「ハマの大魔神」こと、野球評論家の佐々木主浩氏(48)がなにを語るのか、注目された。
「2回目はないと強く思いたい」
清原被告が公の場に姿を見せるのは2016年2月2日に逮捕されて以降、初めて。各種報道によると、清原被告は法廷に紺色のスーツ、青っぽいネクタイ、白いワイシャツ姿で入廷した。起訴状によると、清原被告は16年2月、東京・港区内で覚醒剤を使用したうえ、覚醒剤約0.2グラムを所持。また15年9月ごろ、群馬県みどり市の無職、小林和之被告(45、覚せい剤取締法違反の譲渡の罪で公判中)から、覚醒剤1.2グラムを8万円で譲り受けたとされる。
清原被告は検察官の朗読を直立不動で聞き、吉戒裁判官に「検察官が読みあげた起訴内容に、間違いはありますか」と尋ねられると、小さな声で「間違いありません」と認めた。
被告人質問では、「ストレスや不安は野球で解決できていたが、引退後は薬物に負けてしまった」と話し、「プロ野球を目標とする少年たちに申し訳ない」と涙ながらに謝罪した。
そうしたなか、注目されたのは佐々木主浩氏だ。清原被告とは同い年で、ともに甲子園に出場。プロ入り後も「ライバルで親友」と呼びあう仲だった。
清原被告が逮捕された際には、「ぶん殴ってやりたい」「裏切られた気持ちで悲しい」と話していたが、2016年5月17日付のスポーツニッポンによると、清原被告には右脚や左胸から背中にかけて、凄みのある竜の入れ墨があって、それを消すことが社会復帰の大前提と「注文」をつけたという。「グラウンドに入ることも、仕事もできない。入れ墨を消して出直すべきだ」と、清原被告に直言したこともあったとしている。
一方、佐々木氏は法廷で、清原被告の覚醒剤の使用については「知らなかった」と証言。薬物疑惑が報じられた際に佐々木氏が問いただしたときも、清原被告に「『やっていない』と言われた」と明かした。
検察官から「2回目もあったらどうするか」と尋問されたが、「2回目はないと強く思いたい」と述べ、清原被告に呼びかけるように「今後は僕に嘘をつかないと信じる」と、更生を願うとともに、サポートを約束した。
見方分かれる「更生できるかどうか」
清原被告の初公判を受けて、インターネットでは、
「執行猶予で出したら再犯するかもしれないから、刑務所でしっかり薬物治療を受けたほうがいいと思うけどね」
「執行猶予がつくだろうなあ。でもどう見ても再犯しそうだしな」
などと、清原被告が更生できるかどうか、見方が割れている。
また、情状証人として出廷した佐々木氏に対しては、
「快楽の前には反省も忘れる。社会に戻すならおまえが連帯保証しろといいたい」
「かたい友情で薬物から脱却できるなら、再犯率がこんなに高いわけなかろうがwww」
「執行猶予がついて世間に出れば、すぐにチヤホヤされるだろうから、そりゃたいへんだと思うよ」
と、厳しい声も寄せられている。
公判終了後、佐々木氏は東京・霞が関の司法記者クラブの囲み取材で、この日の清原被告の姿を見て、「本当に反省しているし、見ている僕としては悲しくなりました。ああいう顔は見たくない。早く元気な姿を見せてほしいです」などと語った。薬物依存症についても、「克服するだけの精神力は野球をやっていた彼ならあるはずで、頑張ってくれると思います」と、「親友」を信じたいという気持ちをにじませる。
検察側は懲役2年6か月を求刑。即日結審した。判決は5月31日に言い渡される。