第29回山本周五郎賞(新潮文芸振興会主催)の選考会が2016年5月16日に行われ、湊かなえさん(43)の「ユートピア」(集英社)が選ばれた。注目されていたモデル・押切もえさん(36)の「永遠とは違う一日」(新潮社)は次点で受賞を逃した。
「永遠とは違う一日」は、文芸誌「小説新潮」で1年にわたり連載された6本の短編小説を1本にまとめたもの。押切さんにとっては2013年の「浅き夢見し」(小学館)に続く2作目の小説で、文芸誌での発表は同作が初めてだった。
選考委員の佐々木譲氏は会見の中で、押切さんの作品が有力候補だったことを明かした。投票では「0.5票差」の僅差だったといい、「W受賞」の案も出たという。
同賞には他に、中田永一さんの「私は存在が空気」、相場英雄さんの「ガラパゴス」、宮内悠介さんの「アメリカ最後の実験」がノミネートされていた。