大手シネマコンプレックス(複合型映画館)の「TOHOシネマズ」が、男性向け割引プラン「メンズデイ」の廃止を決めた。一般的に、女性向け割引プラン「レディースデイ」と比べ、知名度がやや低い印象を受けるメンズデイ。
廃止、存続の問題以前に、その存在自体を知らなかった人が多く、ネット上では「メンズデイとかあったのか」と思わぬ反響が寄せられている。
「男女差別」ではなく「利用者が少なかった」だけ
TOHOシネマズがメンズデイ廃止を発表したのは、2016年4月22日のこと。メンズデイは、毎週木曜日に男性が1100円で映画を観覧できるサービスで、一部利用者には重宝されていた。
同社は今回、「カップルデイ」や「ファーストショー割引」といった他の割引プランも合わせて7月1日上映分から廃止すると決定。これにより、地域間で差があった通常料金が一般1800円、大学生1500円、高校生以下1000円の3つの料金体系に収斂する。なお、5月16日現在すべての劇場で実施されている、毎週水曜日のレディースデイ(1100円への割引き)は存続が決まった。
発表をうけ、ネット上では「なんというか、世知辛いのう......」と惜しむ声、レディースデイ存続を「男女差別」だと指摘する声、などさまざまな反応が起きた。
メンズデイをやめる理由について、同社の担当者はJ-CASTニュースの取材にこう語る。
「利用者数が私どもの期待水準に届かなかったのが一番の理由です」
「男女差別」ではなく、要は「利用者が少なかった」だけらしい。
そんなコメントを象徴するように、メンズデイの存在を今回初めて知った人も多かったようだ。
「何だそれは」
「メンズデイとかあったのか」
という驚きの声もまた、ツイッターに相次いでいる。
それもそのはず、メンズデイを実施しているTOHOシネマズの劇場は全65館中12館(おいらせ下田、秋田、宇都宮、ひたちなか、水戸内原、津島、東浦、木曽川、岐阜、モレラ岐阜、岡南、緑井)しかない。もちろん、東京都内や大阪府内の劇場はゼロだ。
東京都内で男性割引を確認できるのは3館だけ
メンズデイを実施する劇場が限られているのはなぜなのか。
「特に何らかの戦略があって、劇場を絞っていたわけではありません。弊社はもともと複数の会社が統合してできたという背景がありまして、そういうところが関係しているのかもしれません」
詳しい事情は「分からない」というが、とにかく知名度も利用者数もいまひとつだったらしい。
他の映画館を見ても、東京都内で男性向けの割引プランを実施している映画館は少ない。現在確認できるのは、シネマート新宿(新宿区)とシネパレス渋谷(渋谷区)、ニュー八王子シネマ(八王子市)の3館。2014年に吉祥寺バウスシアター(武蔵野市)が閉館したため、また1つ少なくなった。もちろん、TOHOシネマズやMOVIXといった大手シネコンはどこの劇場も実施していない。かたや、レディースデイは大手シネコン、中小映画館、都会、地方を問わず幅広く実施されている。
やはり利用者数の問題なのだろうか。取材の最後、TOHOシネマズの担当者は
「レディースデイを利用されるお客様の方が、数の面では『圧倒的』でした」
と振り返った。