米オバマ政権は2016年5月13日、全米の公立学校区と大学に対し、心と体の性が異なる「トランスジェンダー」の人々が自身の認識する性のトイレを使用できるよう義務づけるガイドラインを通達した。
AFP通信などが5月14日付で報じた。LGBT(性的少数者)の権利を保護するのが目的だが、保守的な州では反発が起きている。
第2の公民権運動か、連邦VS.州で「トイレ」論争が勃発
通達は米司法省・教育省の連名で行なわれた。トランスジェンダーを含むすべての生徒・学生が、性的差別のない環境で過ごせるよう求めている。法的拘束力はないが、従わない場合、連邦政府側は訴訟や助成金打ち切りも辞さない構えだ。
米国ではトランスジェンダーのトイレ使用をめぐって連邦政府と一部の州との間で対立が起きている。ノースカロライナ州では同年3月、出生証明書と同じ性のトイレを使うよう義務付けた州法(トイレ法)が成立した。同州は、トランスジェンダーのふりをして女性トイレに入ろうとする男性から女性を守るためだと主張している。しかし、連邦政府は「公民権法に反する」とトイレ法の執行停止を求め、互いに訴訟を起こす事態に発展した。
トイレ法をめぐる訴訟の決着がつかないまま連邦政府が今回の通達を出したため、ノースカロライナ州をはじめ、テキサス州、アーカンソー州も批判的な態度を見せている。