アミノ酸液入りしょうゆは「九州地方」で好まれている
そもそも、しょうゆの製造方法は3つある。日本醤油協会は「『アミノ酸液』を混入する方法もあり、日本農林規格(JAS)で認められています」と話し、「ニセしょうゆ」との指摘には反発している。
一般的な製造方法で、最も伝統的なのが「本醸造」方式。大豆と小麦、そこに種麹を加えて食塩水を混ぜ込み「もろみ」をつくり、さらに攪拌(かくはん)しながら6か月ほど寝かせてつくる。出荷されるしょうゆの85.7%(2011年)がこの方式でつくられる。
一方、アミノ酸液を混ぜる方式は、最近は「新式醸造方式」と言わないそうで、「もろみ」をつくっているタイミングでアミノ酸液を混入する方式を「混合醸造」、アミノ酸液を生醤油に加えて火入れするタイミングで混入する方式を「混合」という。出荷数量ベースでは、「混合醸造」と「混合」と合わせても14.3%にとどまる。
なぜ「アミノ酸液」入りのしょうゆがつくられるのか――。酒税がかかる「みりん」と、酒税がかからない「みりん風調味料」の違いのように、価格に大きな差があるわけでもない。日本醤油協会は、「メーカーがおいしさを求めた結果です」という。
全国で生産されてきたしょうゆは、それぞれの土地にあった、個性をもっている。JASでは、こいくち、うすくち、溜り、再仕込、しろの5つに分類されるが、一般的に、しょうゆは8割が「こいくち」で、関西では色の淡い「うすくち」が、名古屋などでは「溜(たま)り」しょうゆが好まれるなどの地域差がある。
「アミノ酸液を混ぜる方法は九州地方で好まれるしょうゆで伝統があります」という。九州地方の味が広がりつつあるということのようだ。