日本人になくてはならない、「しょうゆ」。お刺身や寿司、煮物、お椀物といった日本食はもちろん、魚料理でも肉料理でも、ちょっと垂らすだけでおいしくいただける「万能」調味料だ。
その味も、「こいくち」や「うすくち」「溜(たま)り」などがあり、また古くから全国それぞれの土地の嗜好や醸造方法などによって異なる。ところがいま、そんな「しょうゆ」に「まがいモノ」があるとの指摘が、インターネットなどで広がりつつある。
「アミノ酸液」を混入して...
「しょうゆ」の出荷数量は、2011年に82万5854キロリットル。一世帯あたり、1リットル瓶で6.9本を消費している(総務省の家計調査報告)。日本人には欠かせない調味料とはいえ、しょうゆの出荷数量は2001年以降、毎年減り続けている。
2013年には、とうとう80万キロリットルの大台を割り込んで、79万3363キロリットルに減ってしまった。背景の一つには健康志向の高まりがあるとされ、高血圧の人などが「塩分」を気にして控えるようになったという。
一方、しょうゆメーカーには「100年、200年もの老舗が多く、どこも顧客志向にあった商品を送り出しています」と、日本醤油協会は話す。最近は、開栓後も「おいしさ」を保つため、通常の1リットルサイズから卓上タイプの小さな容器のしゅうゆを売り出したり、空気にふれない容器を開発したりして売り上げ増につなげようとしている。
一方で、日本人の食生活の多様化、簡便化などを背景に、だししょうゆやぽん酢しょうゆ、つゆ・たれ類といった汎用調味料(しょうゆ加工品)が出荷量を伸ばしている。たとえば、「だししょうゆ」や「さしみしょうゆ」「昆布しょうゆ」「にんにくしょうゆ」などがそれで、汎用性のある専用調味料として品揃えが広がってきている。
そうしたなか、2016年5月12日付のサイトBusiness Journalは「スーパーの激安しょう油は危険!」の見出しで、格安スーパーや特売などで安価で売られている「新式醸造醤油」と呼ばれるしょうゆが、丸大豆と小麦、食塩を使って、時間をかけてじっくりと発酵させてつくる「本物」のしょう油と異なる、「醤油風調味料である」と報じた。
「家庭の台所事情を考えて、つい買いたくなる人は多いはずだ。しかし、あれは全部ニセしょう油である」とし、激安で濃厚な甘みのあるしょうゆがつくれる要因を、アミノ酸液にあると指摘している。
こうした記事について、インターネットには、
「最近、妙に味が濃くなったように思ったけど、あれはニセモノのせいか?」
「低品質だから混ぜてごまかしているってことね」
「わかった!プライベートブランドの安いやつのことだろ。そもそもしょっぱいだけで香りもなくてまずい」
「アミノ酸だから害はないだろうが、そういうのを入れないとダメってのは醤油じたいに旨みが含まれてないってことでダメな醤油の証明でしょ」
といった「アミノ酸液」の混入に否定的な声が寄せられている。
その一方で、
「『濃厚な甘さ』って、刺身しょうゆのこと? それに害があるの?」
「ラベルにちゃんと書いてあるよ。ふつうに入ってるじゃん。あれが害なのか? なんか違うんじゃね」
と、「アミノ酸液」を問題視する向きに首を傾げる声や、
「1リットルなんて買わんけど、特売とかで200円なら十分(安い)んじゃない?」
などと、安さを歓迎する声もある。