【主治医が見つかる診療所】(テレビ東京)2016年5月9日放送
「最新・最強ダイエットSP」
世の中には様々なダイエット法があふれ返っているが、思うように成果が出なかったり、長続きしなかったり、かえって体調を崩してしまったり...ということも少なくない。
だが実は安全で簡単、しかも長続きする、画期的なダイエット方法が存在する。その方法を、双子のお笑いコンビ「ザ・たっち」が10日間実践した。
「デブが一番長生き」ではなくて...
14年11月17日放送回では、ザ・たっちの食生活の乱れが明かされ、レギュラーの主治医たちに「食道にがんができやすくなる」「10年後まで生きているかどうか、非常に楽しみ」などと言われていた。
「今日から生活改善します!」と力強く宣言した二人だったが、あれから1年半、33歳となった今も、食生活は何も変わっていなかった。
弟のかずやは「デブが一番長生きする」と先輩・内山信二に言われたそうだが、スタジオでは否定の嵐だ。
MCの草野仁「定説は『デブが長生き』ではなくて、『ポッチャリ型の人が一番長く生きる』」
秋津医院・秋津壽男院長「BMIの標準値(18.5以上25未満)の上の方の人が長生きする」
ダイエット開始前、そしがや大蔵クリニックで体重と体脂肪率、血液検査を実施した。
身長151cmの二人の適正体重は約50キロで、体脂肪率25%以上は肥満となるが、兄のたくやは73.1キロ、体脂肪率が32.8%。かずやは73.3キロ、32.9%だった。中山久徳院長は「アメリカ並みの肥満」と驚く。
中山院長「体の重みを支えている膝や股関節や足関節には相当負担がきてしまっている。こうした生活が続いていると30代のうちから関節障害が出てきて、改善されないとひどい場合寝たきりになってしまう可能性があります」
岡部クリニック・岡部正院長「30代の男性でこれだけ体脂肪率が高いと、確実に内臓脂肪が付いている。内臓脂肪が増えると、長寿ホルモンと呼ばれる『アディポネクチン』が減ってしまう。アディポネクチンが減ると糖尿病、心筋梗塞、大腸がんになりやすくなる。残念ですがこのままだと長生きするのは難しいでしょう」
「何も食べない16時間」を作る
今回二人は別々のダイエット方法に挑戦することに。かずやは「8:16時間ダイエット」に取り組んだ。
この方法は、かたやま脳外科内科クリニック(福岡・北九州市)の片山成二院長が実践して成功したものだ。
1日24時間を8時間と16時間に分け、朝8時に食事をとったら夕食を16時までに食べ終わるというように、8時間の間に食事を全て終わらせる。食事のスタート時刻は日によって1~2時間前後しても大丈夫だ。
この間は何を食べてもOKで、お酒を飲んでもいい。ダイエットなので、食事の回数を極端に増やす、8時間食べ続けるなど、暴飲暴食はもちろんご法度だが、片山院長は毎食満腹になるまで食べているという。
何も食べない16時間がポイントで、働きっぱなしだった胃腸を毎日16時間休ませることで、消化器の働きが活発になり、代謝もアップする。脂肪がしっかり燃焼され、やせることにつながる。
片山院長「糖尿病や高血圧、もっと先にはがん、認知症のアルツハイマー病、パーキンソン病の予防が期待できる」
無理なくやせられ、健康にもつながるということで、自身のクリニックでも患者に「8:16時間ダイエット」を勧めている。
半年前から実践しているという91歳の女性患者は、体重が2キロ減り、ひざの痛みがほぼ消えるという効果が現れた。
女性患者「いつから始めてどうしたとか、あまり覚えていないんですよ。苦しくなかったから。何にも無理してないから」
秋津院長「言い方を変えたら、16時間のプチ断食を毎日すること。そのかわり断食の時間以外は何を食べてもいいから、食べ物に対する執着の強い人ほど、無理しないから長期続けられる」
日本薬科大学・丁宗鐵学長「漢方の考え方では、腸が体の健康のもと。好き勝手に食事していると腸が休む間がない。腸は筋肉からできているから、筋肉が疲弊してしまう。腸を16時間きちんと休めることで、回復力、持続力が出てくる」
これから始める場合は、最初から16時間食べないのではなく、現状から食べない時間を1時間ずつ伸ばしていくなど、徐々に進めるのでもOKだ。最終的に8:16時間になれば最も効果的だという。
ある程度は糖質をとる新しい「糖質制限」
たくやが挑戦するのは「ローカーボ食」。名古屋逓信病院の中村了内科医長らが考案したダイエット法だ。
中村内科医長「体重が87キロあった時に半年ほどやったら、最初の1週間が一番体重が減って、一気に6~7キロくらい減った。最終的には72キロまで減った」
この方法はいわゆる「糖質制限ダイエット」なのだが、糖質(炭水化物)を「悪」とするのではなく、量を適切に調整する。ある程度は糖質をとってもよいので、安全で長続きするのだ。
肉類と魚介類全般、海藻類、魚卵、大豆製品、キノコ類、卵は食べてもよい。さらに、唐揚げや油炒めなど、油を使ったものは「どんどん食べていただいた方がよろしい」という。
中村内科医長「油は悪であるという概念を取り払うのが大事。炭水化物を減らす代わりにカロリーを確保しなければいけないので、油は積極的にとる」
脂肪分は細胞やホルモンの材料となり、エネルギー源にもなる重要な栄養素だ。普段の食事から糖質を抜くだけではエネルギー不足になり、ストレスにもつながる。ローカーボ食では、動物性の油、植物性の油、魚の油をバランスよく、積極的にとっていく。
ただし揚げ物を食べる際は、糖質が含まれるパン粉を衣に使ったカツやフライは避け、素揚げのものか、できるだけ衣を薄くした唐揚げを食べるのが望ましい。
調味料は塩、しょう油、酢、マヨネーズはOK。砂糖、はちみつ、みりん、ポン酢、ケチャップ、ソースは比較的糖質が多いので避ける。
お酒は飲んでもよいが、糖質を豊富に含むビール、日本酒、ワインはNG。飲むなら、糖質をほぼ含まない焼酎、ウイスキー、ウオッカを選ぶ。
今回たくやは1日のうち2食をローカーボ食にし、1食は好きなものを食べても良い、というルールで挑んだ。
好物の肉や揚げ物を食べてもよいダイエットということで、二人とも順調にスタートした。5日目の時点でたくやは「朝ちょっと目覚めが良くなったかな」、かずやは「お通じがとにかくいい。1日2回はトイレに行っている」と、早くも体に変化を感じたようだ。
ところが6日目以降、かずやの「食べない16時間」の間にたくやが朝食をとっていることで、朝お腹を空かせたかずやがイライラし始めてしまった。7日目に片山院長から得たアドバイスは、「朝にバターコーヒーを飲むこと」。
コーヒーに無塩バターを小さじ2杯ほど入れたもので、脂肪分が空腹感をおさえ、エネルギーにもなる。片山院長によると、1日2~3杯までは飲んでもよいそうだ。
かずやは翌朝から早速実践し、空腹感が満たされたよう。「救世主だね」と喜んでいた。
血液検査の結果は残念...その理由は
ダイエットは無事終了し、開始から11日目の収録日、体重と体脂肪率の変化がスタジオで計測された。
「8:16ダイエット」に取り組んだかずやは、体重が2.2キロ減の71.1キロ、体脂肪率が1.3%減の31.6%。「ローカーボ食」のたくやは、3キロ減の70.1キロ、2%減の30.8%だった。
収録前日にそしがや大蔵クリニックで行った血液検査の値も発表された。
かずやはLDL悪玉コレステロール、LH比、中性脂肪が減少。特に中性脂肪は142から80に大幅ダウンした。基準値内で上がることが望ましいHDL善玉コレステロールも51から52に増加していた。
札幌禎心会病院脳疾患研究所・上山博康所長「すい臓は食事をしたらすぐにインスリンを出す。(食事の)間が空くことでインスリンも休める。臓器は働いた後は休むことが必要。8:16はそれをやっている」
岡部院長「一番いいのは頭が空腹感を覚えたこと。今まではお腹も空かないのに食べていた。空腹になったら食べるのが正しい食事で、それを覚えてよかった」
一方のたくやは、中性脂肪は140から76と約半分になったものの、LDL悪玉コレステロールの数値が上がり、HDL善玉コレステロールは下がってしまった。
岡部院長「油には動物性と植物性と魚の3種類ある。バランスよくたくさんとった方がいい。動物性が多かったのでは」
たくや「基本的に唐揚げばっかり」
岡部院長「それがこの結果になってしまったので、続けるんだったら油のバランスをよく考えた方がいい」