全日空への「路線優遇」は今年度が最後? 日航の巻き返しが始まる

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国際線旅客数で悲願のトップを達成したANA

   最近の両社の業績を比較すると、全日空の国際線旅客数が2015年度に初めて日航を上回るなど優位性が目立つ。両社の輸送実績によると、2015年度の国際線旅客数は、全日空が前年度比13.5%増の816万7951人、日航は3.7%増の808万676人。日航は2016年度まで新規路線開設を制限されていることが影響した。1986年3月に国際線定期便に参入して以来、全日空が国際線旅客数で日航を抜くのは悲願だった。

   ANAホールディングスと日航の2016年3月期の連結決算は両者の力関係の微妙さを示す。ANAの売上高は4.5%増の1兆7911億円、最終利益は99.2%増の781億円と、いずれも過去最高を更新。国際線の旅客収入が伸びたことが利益を押し上げた。

   対する日航は売上高が0.6%減の1兆3366億円、最終利益が17.1%増の1744億円と減収増益だった。日航の業績は着実に回復しており、「当社の業績改善の要因は公的支援の効果もあるが、当社自身の構造改革による効果が大部分を占める」と主張。構造改革とは不採算路線からの撤退や人件費の大幅削減だ。

   8.10ペーパーが2016年度いっぱいで効力を失えば、日航は2017年度から新規路線の開設や新規投資を認められることになる。国際線などで拡大路線を続ける全日空に対して、日航は規模の拡大を追うことなく、採算性を重視した経営を続ける方針を示すが、経営への縛りから解放されれば、どのような手を打ってくるか。両社の真の競争は2017年度以降となりそうだ。

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