三菱自の破綻はなくなったが...
三菱自は5月11日、国土交通省に社内調査結果を再報告したが、その内容は「全容からはほど遠い」(国交省幹部)もので、生産再開までの道筋はまったく見通せない状況。国や自治体は三菱自と取引のある中小企業の支援策に乗り出しているが、部品メーカーからは「問題の全容が一日も早く解明され、生産が元通りにならなければ、根本的解決にはならない」と悲鳴が上がっている。
「今回は三菱グループも助けてくれず、破たんするかもしれない」。業界では、そんな最悪のシナリオもささやかれていたが、5月12日に発表された事実上の日産傘下入りで、破たんの危機は、ひとまず遠のいた。
しかし、すんなりと再建に向かえるかは、予断を許さない。三菱自と日産は2011年に軽自動車の企画・開発会社を折半出資で設立。三菱自が水島製作所で生産した軽自動車を日産にも供給し、それぞれのブランド名で販売しているが、今回まさにその軽自動車で燃費データの不正が発覚した。
日産は今回の問題を受け、経営危機に陥りかねない三菱自に3割超を出資し、事実上傘下に収めることになった。軽自動車だけだった協力関係を一気に拡大し、三菱自の人気が高い東南アジアでのシェア拡大なども狙う戦略だ。
ただ、国内販売の柱となる軽自動車は、今回の問題を受けて三菱自、日産とも販売が激減している。ブランド復活の見通しは立っておらず、日産傘下入りが決まっても、従業員や取引先の不安は簡単にはぬぐいきれない。