正社員として働いていた時にがんにかかり、その後も仕事を続けている人は、再発への不安だけでなく「治療・経過観察・通院目的の休暇・休業が取りづらい」「働き方を変えたり、休職したりすることで収入が減少する」といった就業上の悩みが少なくない――。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2016年3月4日に発表した「がん治療と仕事の両立に関する調査」で、このような実態が明らかになった。
がん進行度「2期以降」は体力面から働き続けるのが困難
調査に協力した男女978人のうち、がんにかかった年齢は男性が40、50代を合わせると85.7%に達した。女性は40代以下が77.6%を占める。がんの種類では、男性は大腸がん、女性は乳がんが最も多かった。
がんに罹患してから1年間は、労働時間を「週40時間未満」と一時的に抑えた人の割合が41%に上った。働き方については、「軽微な業務への転換や作業の制限など、仕事内容の変更」と「勤務時間の短縮」があったと答えた人がそれぞれ2割になった。
勤務先は、罹患後も同じ職場で働いている人が86%、退職の後に転職・再就職して現在も働いている人が14%だった。転職せず同じ職場に残っている人は、9割が正社員のままなのに対して、転職者は約4割が正社員からパートやアルバイト、契約社員、派遣社員といった非正規社員に変わっていた。罹患時の職場を退職した理由で最も多かったのは、がんの進行度が「1期」以前では、「治療と仕事を両立するために活用できる制度が勤務先に整っていなかったため」が最も多く、17.2%だった。「2期以降」になると「体力面等から継続して就労することが困難であったため」が多くなり、32.8%に上った。