ブランド物のポーチで政治活動したり、絵を額装して国際交流したり...。東京都の舛添要一知事が、政治資金を使ってこんなことをしていると記者会見で明らかにした。庶民には無縁の金銭感覚の持ち主であることが浮き彫りになった。
「誠に不徳の致すところ」。舛添知事は、政治資金問題を釈明した2016年5月13日の定例会見で、こう繰り返し強調した。
私的利用も混入は「経理担当者のミス」
それもそのはず、政治資金の中に私的な利用のお金まで混入するケースが次々に露呈してしまったからだ。
千葉県木更津市内のホテルでは、週刊文春が指摘した通り、13、14年の正月に会議に使ったとした部屋に妻子まで泊まらせていた。関係者らと総選挙や知事選の対応のために使ったと主張したが、計3泊で37万円も政治資金から支出していた。舛添氏は、会見で「誤解を招いた」とお詫びし、収支報告書を訂正・削除し、全額を返金するとした。
文春指摘の飲食代についても、東京都世田谷区の自宅近くのイタリア料理店では、事務所関係者の打ち合わせに使っていたというが、政治活動が確認できない支出が見つかった。この料理店も、計4回で約20万円も支出している。また、回転寿司店や天ぷら店でも、舛添氏個人の飲食代などが含まれるなどしていた。これらも、訂正・削除のうえ返金するとしている。
なぜこんな「公私混同」が起きてしまったかについて、舛添氏は、事務所が政治活動や個人の活動も同時並行して会計処理していることが背景にあると説明した。あくまで経理担当者が誤って政治資金に計上してしまったミスだとして、今後は、第3者の専門家にもチェックしてもらうと改善を約束した。
ただ、海外出張問題と同様に、ネット上では、ホテルのグレードの高い客室や高級な飲食店でなぜ会議や打ち合わせをする必要があったのかといった疑問や批判が次々に書き込まれている。
「都知事としての職責を果たして、都民の負託に応えたい」
さらに、舛添氏が会見で「法律上の問題はない」としたケースについても、その尋常でない金銭感覚が指摘されている。
文春報道では、木更津市内のホテルに宿泊した日、近くのアウトレットモールに足を運び、英高級ブランド「ダンヒル」のショップで事務所備品として3万円強のポーチも購入していたと指摘したが、舛添氏はなんと、「小さな事務用品を入れるのに便利」「日常の政治活動で携行」などとして、これを認めたのだ。
東京都内の額縁専門店では、4~10万円ぐらいの備品や消耗品を計178万円分も購入していたと指摘されたが、舛添氏は、掛け軸、屏風などの額装に使っていたことを明らかにした。政治活動に使った理由としては、都市外交などで海外との交流が多く掛け軸などをツールとして活用しており、見栄えをよくするために額装したと説明した。
いずれにせよ、舛添氏は、文春で疑惑があるとされた政治資金規正法違反(虚偽記載)については全面的に否定した。ネット上では、自らの責任を取って辞職するべきとの声が相次いでいるが、これについても「都知事としての職責を果たして、都民の負託に応えたい」などと述べ、辞職を否定した。