立花隆・田中康夫・菅原文太さん、3人3様のがん体験
膀胱がんを告白している著名人は少なくない。評論家の立花隆さんは、2007年暮れに膀胱がんとわかり、全摘出手術を受けた。その様子も含め、立花さんとNHKスペシャルのスタッフが世界中のがんの専門家を取材、がんと正面から向き合った番組「立花隆 思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む」(2009年11月放送)を制作、大きな反響を呼んだ。立花さんはその後もがんや生死に関する著作を発表し続けている。
作家で元長野県知事の田中康夫さんも、県知事時代の2003年12月に膀胱の全摘手術を受けたことを、1か月後に県政記者クラブで発表した。その際、小腸を使って新しい膀胱を体内に作り、尿路を再建した手術内容を詳しく説明。
「『人工膀胱』という言葉で表現されると、まるで体の外に人工物を作るイメージがあるので、ぜひ控えるようお願いします。まだ、紙おむつを使っていますが、数か月すると自分で排尿することができると医師から言われています」
と病気への理解と患者たちへの配慮を求めた。
俳優の菅原文太さん(2014年11月、転移性肝がんで死去・享年81)は、2007年4月、膀胱がんとわかった。菅原さんは温存療法を選び、次のような経験を語りながら全国を講演し、膀胱がんの早期発見とセカンドオピニオンの重要性を説いて回った。
「新幹線のトイレで血がポタポタと落ちました。すぐ知り合いの泌尿器科の先生に診てもらうと、『自分じゃ手に負えない』と別の先生を紹介されました。いろんな先生に当たったが、10人中9人から膀胱を全摘しないと余命は半年から1年だと言われましたが、私は立ち小便をしたいのです。10人中の1人の医師が全摘しないで済むかもしれないと言ってくれました。そして今、私はピンピンここに立っています」