人気キャスターの小倉智昭さん(68歳)が2016年5月13日、司会を務めるフジテレビ「とくダネ!」の番組中、膀胱(ぼうこう)がんを患っていることを告白した。1週間休養して手術を受けることにするという。
膀胱がんとはいったいどんな病気なのだろうか。
痛みのない血尿が出たらすぐ専門医へ行こう
小倉さんは番組の中で、病気発見の経緯について次のように説明した。
「昨年末からほんのちょっと血尿を見つけ、細胞診を行ないました。糖尿があるので腎臓に(異変が)出るのが怖かったのですが、全部くまなくチェックして最後に膀胱に内視鏡を入れたら、がんがあるのが分かりました」
早期発見だったため、入院は短期間になる見通しで、「お医者さんによく血尿を見つけたねと言われたくらいで、ちゃんと戻ってまいります」とも語った。
小倉さんも語っているとおり、専門医のウェブサイトをみると、膀胱がんは初期症状が現れやすく、早期に発見されるケースが多いがんの1つだ。その初期症状とは次のようなものだ。
(1)血尿。膀胱がんの血尿は痛みが伴わないのが特徴で、血尿が出たり、出なかったりを繰り返し、次第に血尿が出る時間が長くなる。血尿は腎臓病や膀胱炎でも起こるが、痛みがない場合は膀胱がんの疑いが強い。
(2)排尿時の痛み・下腹部の痛み・脇腹の痛み。これらは膀胱炎と似た症状だが、抗生剤でも痛みがひかないことが多いのが特徴。
(3)排尿障害。膀胱にできたがんが尿管をふさぐと、尿が膀胱に入ることができず、尿が出にくくなる。
(4)背中の痛みやむくみ。(3)の症状が進行すると、腎臓に尿が溜まって障害が起き、背中が痛くなる。
これらの中でも、(1)の痛みを感じない血尿が最も初期に現れる症状で、膀胱がん患者の約80%に見られる。その段階ですぐに専門医を受診することが大切だ。初期のステージ1だと、5年生存率は約95%を超え、ほとんどの人を治すことができる。ステージ全体でも5年生存率の平均は約60%以上で、すべてのがんの中で比較的予後がいい方だ。
治療は、大きく分けて、膀胱を全摘出する手術と温存する方法の2つがある。全摘出する場合でも最近は、腸の一部を使って体内に袋を作り、膀胱の代わりにするなど、通常と同じ尿道から尿を排出できる方法が発達している。