「折れかけた心を再び奮い立たせ......」 益城町の同人誌印刷プリントオン「奇跡の営業再開」

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   「折れかけた心を再び奮い立たせて頂きました」――震災発生からおよそ1か月、被災地熊本の印刷会社がこんな力強い「復活宣言」を公式サイトに掲載した。

   社名は、同人誌を作る作家にはお馴染みの「プリントオン」。今回の震災で深刻な被害を受けた上益城郡益城町に本社を構える。震災発生当初、社屋や機材に甚大な被害が出たとして営業中止を余儀なくされていただけに、「すごいな早いな」と復活のスピードに驚く声がネット上で相次いでいる。

  • スタッフらは被災しながらも営業再開に向けて全力を尽くした(画像は同社の公式サイトより)
    スタッフらは被災しながらも営業再開に向けて全力を尽くした(画像は同社の公式サイトより)
  • スタッフらは被災しながらも営業再開に向けて全力を尽くした(画像は同社の公式サイトより)

ライバル社からも復興支援

   プリントオンは2016年5月12日、福山大路代表取締役の名義で「弊社に関わるすべての皆様へ」と題した告知文を公式サイトに掲載した。震災の被害を目の当たりにし「このまま廃業してしまうのではないかと心が折れそうになりました」という絶望感、普段ライバルであるはずの同業他社から受けた力強い復興支援、自身も被災しながら営業再開に向けて全力を尽くしたスタッフらの姿が告知文に記された。

   告知文の後半で、同日より新規受注を再開することを発表。「地震当初の惨状を考えれば、奇跡的なスピード」と綴られている。

   同社は、同人誌をはじめとする比較的小規模な製本やグッズ印刷を中心に請け負う印刷所だ。装丁の種類が多い、デザインが出来ない利用者でも装丁や表紙をゼロから作ってくれる、といったサービスの良さで人気を集め、クリエイターから熱い支持を受けていた。とりわけ、高いクオリティと遊び心を併せ持ったデザインの装丁や表紙はネット上でもたびたび話題となっていた。

   そんな同社は、熊本の地震で深刻な被害を受けた。公式ツイッターアカウントや公式サイト上で逐一被害状況を報告していたが、4月16日のツイートには「人命を優先して社屋にも入れない状態により、一切の受注を停止させて頂くとともに現状お受けしている商品の納品も不透明な状態です」とあり、当時の被害の深刻さが読み取られる。全従業員は無事だったものの、商品や機械の被害も大きく、4月中は休業を余儀なくされた。

「めちゃくちゃ早い」と驚きの声

   しかし、復旧のスピードは早かった。5月1日には、5日までに機材のメンテナンスや修理がほぼ完了し、5月中旬に新規の入稿受付を再開させる予定だと、公式サイトで発表していた。

   そして12日、一部のプランを除いて、新規の入稿受付が再開。ほぼ全面的な「復活」を高らかに宣言した。

   発表をうけ、ツイッター上に

「めちゃくちゃ早い なんだこれは」
「すごいな早いな」

と驚きの声が寄せられている。

   なぜこんなに早く営業を再開できたのか。そして、利用者から応援のメッセージは届いているのか。プリントオンに取材したが、「そうしたことは承っていない」と断られてしまった。

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