2015年9月から半年間に渡って、36歳男性、木村清志さん(仮名、以下キヨシさん)のダイエットをリポートしてきた。2016年5月4日付の記事では、食生活の改善について振り返ったが、今回は「運動編」だ。
実は食事制限よりも、運動の習慣づけの方が困難だった。ダイエット終盤になって自主的に体を動かすようになったが、その変化のわけを探ってみよう。
最寄り駅1つ先まで歩く、仕事中背筋を伸ばす...挫折の数々
キヨシさんは、平日は仕事が多忙で帰宅が夜遅く、土日は家でのんびり過ごす生活スタイルだった。疲れているから休日くらいはソファーでゆっくりしたいし、人ごみの中を出掛けたくない、とあまり体を動かしていなかったのだ。
そこで最初に、週末に外出する際の車移動を、可能な限り徒歩に切り替えてもらった。例えば息子の塾への送り迎えで、片道15分を歩くようになった。さらにダイエット開始から1か月半たったころ、息子を誘って公園でサッカーを楽しんだ。これには妻の美香子さん(仮名)が思わず「奇跡的な光景が見られました」と仰天したほどだ。
半面、挑戦失敗も少なくない。室内で体を動かせるようにと掃除や洗濯物干しといった家事を勧めたが、キヨシさんは「動かざること山の如し」だった。本人の名誉のために書けば、全く家事をしない「ダメパパ」ではないのだが、率先して掃除機をかけたりする気配はなかった。
キヨシさん「家事は面倒臭くて...『やらなきゃいけない』という義務感が発生すると、どうも気が進まないんですよね」
と頭をかく。早起きして最寄り駅の1つ先まで歩き、駅周辺で朝食をとる、帰宅時は会社から1駅分遠くまで歩いてから電車に乗る、というアイデアもあったが、ほとんど試さないまま消えてしまった。
1日の大半を過ごす職場での「仕事中ダイエット」にもトライした。デスクワーク中に背筋を伸ばす、シンプルな方法だ。続けようと極力粘ってはみたが、習慣づけられなかった。
編集部「どうして継続できなかったのでしょう?」
キヨシさん「姿勢を正していても、仕事に集中し始めるとどうしても『二の次』になってしまいました。姿勢が崩れるたびに直すようにしたのですが、いつの間にか忘れてしまう、を繰り返していました」
「何をやるか」だけでなく「誰とやるか」も大切
あれこれと試したが成果があがらず、手詰まり感が漂っていた頃に出会ったのがスロートレーニングだった。寒い時期に室内でできる、10分程度の手軽さ、時間に縛られず帰宅後でも可能、といった点がキヨシさんの性格にピッタリはまった。それなりに体に負荷がかかるので、終わると達成感が得られたのもやる気をくすぐった
キヨシさん「スロトレ効果だけではないかもしれませんが、長年悩んでいた膝や腰の痛みが減りました。続けて良かったのは明らかです」
加えて、継続のモチベーションを高めたのが家族の存在だ。妻と2人の息子も、一緒にスロトレに励んだ。実はキヨシさん、もくもくと1人で運動を続けるのが苦手。通勤時のウオーキングも、仲間がいないせいもあって挫折してしまったのだ。
終盤には、妻とプチ断食に挑戦したり、息子たちと外出して運動を楽しんだりと、家族と共に楽しみながら、時には苦しさを分かち合いながら、体重減に努めた。キヨシさんの場合は、「家族と一緒」こそが運動の習慣化を成功させるカギだったのかもしれない。「何をやるか」だけでなく「誰とやるか」も大切なようだ。
キヨシさん「ダイエット期間が終わって少し気持ちは緩みましたが、子どもと外で遊ぶのが生活の一部になってきました。これからも続けるつもりです」
ちょっとだけタイムオーバーになったが、念願の体重10キロ減をクリアできた。さらに家族の絆も、ダイエット開始前よりずっと強くなったはず。絵にかいたような美しい幕切れとなり、編集部もホッと一息だ。
でも、もしもリバウンドしたら突如ダイエット第2幕がスタートするかも。(おわり)