給食から「基準超の放射性セシウム」 「出荷制限区域のタケノコ混入」が疑われる背景

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   栃木県宇都宮市立小学校の給食に使われたタケノコから、基準値を超えるセシウムが検出され、ネット上で不安の声が漏れている。出荷制限区域のタケノコが混じっていた疑いが報じられているからだ。

   「たまたま、ばれたって感じかね」「これだから安全言われても信用できないんだよな」。宇都宮市教委が2016年5月11日に給食のセシウム検出を発表すると、こんな意見が次々に書き込まれた。

  • ご飯のタケノコからもセシウムが…(写真は記事と関係ありません)
    ご飯のタケノコからもセシウムが…(写真は記事と関係ありません)
  • ご飯のタケノコからもセシウムが…(写真は記事と関係ありません)

「ただちに健康に影響を及ぼす数値ではない」

   市立小学校では月に1回、出荷制限区域がある17都県の農産物について、給食のサンプリング検査を行っている。うち1校で10日、給食用のタケノコから1キロ当たり100ベクレルの基準値を超える放射性セシウムが、この簡易検査で検出された。これを受けて、栃木県が林業センターで精密検査をしたところ、放射線量は、最高で倍以上の234ベクレルに上ることが分かった。

   ただ、市教委の学校健康課によると、この日の朝に搬入されたタケノコをすぐに学校で検査したものの、結果が出たのは午後になったため、児童らはすでに給食で出たタケノコご飯を食べてしまっていた。

   このことについて、学校健康課では、専門家の意見を聞いたところ、「ただちに健康に影響を及ぼす数値ではない」との回答を得たと取材に説明した。

   栃木県の林業振興課によると、タケノコを採った宇都宮市内の男性に聴き取り調査をしたところ、男性は「制限区域とは知らなかった」としながらも、県北部の出荷制限区域にあたる場所で採ったタケノコも混じっていることを認めた。

   タケノコは、この男性が「栃木県産」として公設の青果市場に持ち込み、それを卸売業者が市場で買い取って学校に納入していた。納入されたときは、「宇都宮市産」になっていた。

出荷制限区域の農産物が出回る例が相次ぐ

   農産物は法律上、都道府県産まで表示の義務があるが、栃木県の林業振興課では、県内に出荷制限区域があるため、市町村産で表示するように指導している。

   通常は、青果市場が売り手に対し、どこの市町村産であるか確認を取っているという。今回のタケノコがどこで宇都宮市産にすり替わったのか、林業振興課が関係者に事情を聴いている。

   タケノコの出荷制限区域については、最近は、検査で基準を下回ったとして、茨城県や千葉県などの市町村で制限が解除されている。その一方、制限区域の農産物が市場に出回っていたケースもいくつか報じられている。

   福島県で16年4月、制限区域のタケノコがショッピングセンターで売られていたのが発覚した。また、栃木県でも5月、制限区域の山菜コシアブラが区域外産と表示されて道の駅で売られ、検査で基準値をはるかに超える1500~2100ベクレルが検出された。

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