大阪府で先月(2016年4月)から、いわゆる「民泊」事業が始まった。1か月以上たっても申請はわずか1件であり、民泊第1号として認めた大東市の物件の利用もいまだ0件だという。
5月10日、松井一郎・大阪府知事は、国家戦略特区の会議に出席し、石破茂地方創生担当大臣に対して、滞在日数を7日以上とする規定によって事業の申請や利用が伸び悩んでいるので、民泊事業の滞在日数を現在の7日以上から3日以上とするよう要望した。
合法と違法
これを単純に規制緩和要求とはいい切れないところに、民泊サービスの難しいところがある。
まず、実態から見ておこう。一般に「民泊」はすでに普及している。先日、友人のイギリス人が我が家に泊めてほしいというので泊めたが、その前後は「民泊」を利用していた。エアビーアンドビー(Airbnb)を使えば、海外からでも簡単に「民泊」が利用できる。
その一方、「民泊」をめぐる様々な社会トラブルも増えている。タワーマンションの一室を「民泊」に使うことで起きる、マンション住民とのトラブルなどである。こうした記事は、いろいろなメディアでみることができる。
冒頭の「民泊」に利用がない、という話とまったく違う世界があるのだ。それを理解するカギは、「民泊」には、合法「民泊」と違法「民泊」があるということだ。
例えば、大阪では違法「民泊」が摘発されている(4月26日、府警発表)。はっきり言えば、今行われている「民泊」のほとんどは原則違法である。合法「民泊」は冒頭に書いたようにほとんどない。友人のイギリス人が泊まった民泊も、筆者から見れば違法営業だった。今後、違法「民泊」の摘発は増えていくだろう。