「時をかける少女」がテレビドラマ化されるというニュースが流れると、ツイッターなどで「またアニメの実写化かよ。マジ許せん」などという声が多数上がった。マンガやアニメの原作を実写化すればだいたい残念な結果になる、として反発が起きているのだ。
原作は筒井康隆さんの同名SF小説なのだが、「アニメが原作というのは間違いで、原田知世さんが出演した映画が原作だろう」と主張している人もいる。長寿作品がゆえに、二重、三重の世代間ギャップが生まれているようだ。
「時をかける少女まで実写化の毒牙にかかるとはマジ許せん」
マンガやアニメを実写化するととても残念な結果になる、というのがネット上の定説だ。たびたび取り沙汰されるのが「デビルマン」(2004年、東映)、ハリウッド映画の「ドラゴンボール・エボリューション」(09年)などで、最近では「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」(15年、東宝)、「テラフォーマーズ」(16年、ワーナー・ブラザース)などに批判が向けられた。実写化の情報が出ると「やめてくれ!」などファンから悲鳴が上がるのが通例となっている。そうした中で、日本テレビが16年7月期に「時をかける少女」の連続ドラマを放送するという情報が流れると、ツイッターには、
「時をかける少女の実写化の話で遠い目になっているところ」
「時をかける少女まで実写化の毒牙にかかるとはマジ許せん」
「時をかける少女実写化はきっと失敗」
などといった反発の声が数多く出る事になった。このアニメというのはおそらく、細田守監督のアニメ映画「時をかける少女」(06年、角川ヘラルド)を指しているのだろう。この作品はアニメファンから高い評価を受けていて、若い世代が初めて出会った「時かけ」がこの作品なのだろう。すると、
「実写が先だぞてめぇら」
「時をかける少女が何度実写化されたと思ってんだ! 逆にアニメ化と聞いて驚いた10年前」
「時をかける少女って実写→アニメ→で今回の実写なんだね 知らなかった」
などと、まるで実写が原作であるかのような書き込みが掲示板に出る事になった。
世代によって何が原点なのか認識が異なっている
そうしたなかで、原作は筒井さんが1965年に連載を始めた同名のSF小説だということを知る人たちからは、
「私の世代だと原作→NHKドラマがあって角川映画が来るという感じか」
「『時をかける少女』のドラマが始まるらしく、それを『またアニメの実写化かよ!』と言ってるお子様に『やれやれ、実写が原作だよ』と言ってる若者に『原作は筒井康隆の小説だよ』と優しく指摘するおじさんこと俺」
などといったため息が漏れた。
世代によって何が原点なのか認識が異なっているとも言える。
筒井さんの小説「時かけ」は250万部の大ヒットになっていて、ドラマ化はNHK少年ドラマシリーズで1972年に「タイムトラベラー」「続 タイムトラベラー」を放送。映画化は大林宣彦監督、原田知世さん主演で1983年に公開された。その後もドラマ化、映画化は度々行われ、直近では10年に谷口正晃監督、仲里依紗さん主演の映画としては4作品目になる「時かけ」が公開されている。