部品製造分散とコストトアップのジレンマ
今回の熊本地震を踏まえ、トヨタはグループ企業と協力しながら、国内での部品製造の現状を改めて把握し、分散化などを進めていくとみられる。ただ、分散化を進めれば進めるほど製造コストが上昇し、最終的にはクルマの競争力に影響する。逆に特定部品を特定工場に頼る構図を放置すれば、災害発生時の影響は免れない。最悪の事態を想定して在庫を多く持てば、それもコストアップ要因になる。
平時と緊急時の対応で、どうバランスを取るのか。1次、2次、3次下請けと、多くの部品メーカーの操業に大きな影響を与えるすそ野の広い自動車産業だけに、安定操業を維持する責任は重大だ。他方、部品調達の効率化を追求した結果、メーカー系列が希薄化し、トヨタの思惑どおりになりにくくなっているともいわれる。
大地震が投げかけた課題は重く、トヨタに代表される自動車メーカーの悩みは深い。