稲盛財団と英オックスフォード大は2016年5月9日、科学や文明の発展などに貢献した人を表彰する「京都賞」受賞者を17年5月から毎年オックスフォード大に招いてシンポジウム「Kyoto Prize at Oxford」を行うと発表した。オックスフォード大の学生の学びの場を増やすとともに、欧州ではまだ低い京都賞の知名度向上を目指す。
京都賞受賞者はオックスフォード大の「価値を体現」
稲盛財団は京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が1984年に設立し、翌85年から京都賞関連の事業を行っている。京都賞は毎年11月に発表されることで知られ、京大iPS細胞研究所の山中伸弥所長ら7人が京都賞受賞後にノーベル賞を受賞している。受賞者による講演会は日本国内と米西海岸で行われてきたが、新たに欧州でも開催する。欧州でのイベントは2日間にわたって行われ、講演会やパネルディスカッションを予定している。
オックスフォード大のルイーズ・リチャードソン総長は都内で開かれた記者会見で、
「本学として持っている価値を体現してくれたロールモデル(見本)を学生たちに直接見せたいと思っている。京都賞は、単に功績のみに焦点を当てたものではない。同時にその人たちが持っている価値観を顕彰するもので、そこに本学と共鳴するものがある」
などとイベントへの期待を語った。本来は稲盛氏も会見に出席予定だったが、腰痛で新幹線での移動が困難だと判断されたため欠席。
「Kyoto Prize at Oxfordのイベントを通じて英国だけでなく、欧州各国の皆様にも京都賞への理解を深めていただきたい」
などとするメッセージを寄せた。