運動療法の考え方をガラリと変えた驚くべき方法
ところで、「デジタル握力計」は、通販などで買うと約2万円かかるが、もっと手軽なやり方で行なう裏ワザがある。2014年3月26日放送のNHK「ためしてガッテン 世界が注目するハンドグリップ」で紹介したのが、タオルを握る方法。高血圧予防の専門家、久代登志男・日本大学医学部教授と岡本孝信・日本体育大学教授のオススメが、次のような非常に簡単な方法だった。
(1)普通のタオルを四つ折りにして、端からクルクルと巻いて「タオル巻き」を作る。指と指がくっつかない状態で、軽く2分握り・1分休むことを、左右2回ずつ行なう(これはデジタル握力計と同じ)。
(2)タオルを軽く握る力が、ちょうど30%程度の力に相当する。
(3)タオルを握る時は、手を心臓より高い位置にしない。
(4)また、1日に1回(10分程度)で十分効果があるため、やり過ぎないことが大事。月・火・水曜日に行なったら木曜日は休み、金・土曜日に行なったら日曜日は休むなど、週に5回程度にする。ハンドグリップのような軽い運動でも休息は大切だ。
(5)血圧の上限が180-110以上のかなり高い人は、医師と相談して行なう。
番組では、高血圧で悩む7人の男女に「タオル・ハンドグリップ」を4週間実行してもらい、血圧と血管のやわらかさがどう変化したかを測定した。すると、7人中1人は変わらなかったが、ほかの6人の血圧が下がる好成績。平均で13.6ポイント下がり、上の血圧が185→152、132→111という劇的効果を上げた人もいた。
中でも著しく改善したのが、「FMD」という血管のやわらかさを示す数値だ。FMDは血管がどれだけ拡張するかを、最大拡張時の直径と平均時の直径を比べた数値で、最近、動脈硬化の危険性がわかる目安として注目されている。「6%」以上が正常、それ以下だとリスクが高まる。7人の中には、FMDが1.3%という「超危険」の状態から6.5%の「正常」になった人もいた。
番組の中で、久代教授はこう語っていた。
「ハンドグリップ法は、いままでの運動療法の考え方をガラリと変えてしまうと思うくらい、驚くべき報告です。降圧薬に匹敵するくらいの効果が期待できるかもしれません。血圧が下がった人は、血管の内皮機能が改善したからです。誰でも手軽にできますね。(ウオーキングができない)足の悪い人でもできるし、雨が降っても家の中でできるところがいいです」
開発者であるフィリップ・ミラー博士がVTRに登場し、日本でアレンジした「タオル方式」にこうコメントを寄せていた。
「オ~、タオルメソッドはファンタスティック!」