作曲家でシンセサイザー音楽の第一人者として知られる冨田勲氏の訃報を受け、オンライン通販「Amazon.co.jp」では過去のCD作品に注文が殺到している。
死去は2016年5月8日、所属レコード会社の日本コロムビアが発表した。5日昼ごろ自宅で倒れ、搬送先の病院で息を引き取ったという。死因は慢性心不全。84歳だった。
2位にグラミー賞ノミネート作品「月の光」
訃報から一夜明けた9日、Amazonの人気度ランキング(音楽)の上位は冨田氏の作品で埋め尽くされた。過去24時間で最も売り上げが伸びた商品をランキング化したもので、9日13時時点では、トップ20に冨田作品が14点もランクインしている。
1位こそ、米の人気ロックバンド「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」のニューアルバムとなっているが、2位は冨田氏の1974年発表のアルバム「月の光」だ。当時、米ビルボード・クラシカルチャートで1位を獲得し、日本人として初めてグラミー賞にノミネートされた作品として知られる。
2位以降も10位までを「展覧会の絵」「スペース・ファンタジー」といった冨田作品が独占している。
ツイッターでは多くの人が死を悼みながら、思い入れのある楽曲のYouTube動画を紹介している。宇宙特撮シリーズ「キャプテン・ウルトラ」(1967年)やテレビアニメ「ジャングル大帝」(1965年~)の主題歌、NHK「新日本紀行」(1963年~)のテーマ曲など、懐かしの楽曲をあげる人が目立つ。最近の作品として、ボーカロイド「初音ミク」と共演した「イーハトーヴ交響曲」(2012年)をあげるファンも少なくない。
これらに比べれば少数だが、東宝の特撮映画「ノストラダムスの大予言」(1974年)の楽曲をアップする人も。同映画は未だソフト化されていないものの、サウンドトラックには当時からコアなファンが存在する。
矢野顕子「あーなんか混乱、脳内と心が」
ネット上では、著名人も続々と追悼コメントを寄せている。
歌手で音楽家の矢野顕子さん(61)は8日、
「なんということでしょう。冨田勲さんが亡くなるなんて。久しくお目にかかっていないので、この夏にはご挨拶に伺おうと、飢餓海峡のビデオを観ながら思っていた矢先でした」
とツイート。「あーなんか混乱、脳内と心が」と突然の出来事にひどく動揺していることをうかがわせた。同じくYMOメンバーの音楽家、高橋幸宏さん(63)も「心からご冥福をお祈りいたします、、、」とツイートした。
タレントの篠原ともえさん(37)は冨田氏とのツーショット写真をインスタグラムに投稿し、
「冨田勲さんの『月の光』眠る前に聴く大好きな曲でした。お会いした際にお伝えさせていただいのです...。心より御冥福をお祈りします」
とつづり、故人を偲んだ。