生後半年を過ぎないと予防接種受けられない
米ユタ大学のチームは、2005年に健康診断を受けた妊婦24万5386人と、生まれた子どものデータから、インフルエンザの予防接種による影響を分析した。その結果、次のことがわかった。
(1)妊娠中にインフルエンザの予防接種を受けた母親は、全体の約9.5%(2万3383人)にとどまった。
(2)調査期間中、生後6か月以内にインフルエンザを発症した乳児は658人いたが、そのうち638人が予防接種を受けていない母親の子で、20人が予防接種を受けていた母親の子だった。
(3)658人のうち、入院する重体に陥った子は151人で、うち148人は予防接種を受けていない母親の子、3人が受けていた母親の子だった。
(4)以上のことから、母親が妊娠中に予防接種を受けていると、生まれてきた子が半年以内にインフルエンザにかかるリスクは、受けていない母親の子より、約70%以上も減ることがわかった。これは、予防接種による免疫が母体をつうじて赤ちゃんにも伝わるからとみられる。
米国でも日本でも、赤ちゃんは、生後半年を過ぎないとインフルエンザの予防接種は受けられないので、新生児には朗報だ。今回の結果について、ユタ大学のキャリー・ビングトン博士は「お母さんは、妊娠中にインフルエンザに感染すると重症になりがちです。また、生後半年以内の赤ちゃんは予防接種が受けられないため、他の手段で守ってあげることができません。ぜひ、多くの妊婦さんに予防接種を受けてもらいたいです」とコメントしている。