格安航空、国内線シェア10%超す アジア路線拡大で海外LCCと訪日客争奪へ

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   国内LCC(格安航空会社)各社が、アジア圏を中心に路線を増やしている。

   2012年の「LCC元年」以降、国内路線を中心にシェアを伸ばしてきたが、次の成長を見据え、アジアからの訪日客の獲得を目指す動きが強まっている。

  • 軌道に乗り始めた国内LCCの今後は
    軌道に乗り始めた国内LCCの今後は
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「ピーチ」筆頭に黒字化進む

   国内LCCは、全日本空輸などが出資するピーチ・アビエーションが2012年3月に就航したのを皮切りに、参入が相次いだ。

   同年7月には日本空輸が出資するジェットスター・ジャパン、同年8月にはマレーシアのLCC「エアアジア」と全日空の共同出資によるエアアジア・ジャパン=現バニラ・エアがそれぞれ運行を開始。14年には中国のLCC「春秋航空」の日本法人として春秋航空日本が加わった。

   魅力は何と言っても運賃の安さだ。2012年以降、若者を中心に支持を集め、旅客数は順調に伸びている。

   国内線シェアも年々拡大傾向にあり、国土交通省の資料よれば12年(3月~12月)は2.1%だったのが、13年には5.8%、14年には7.6%に。15年(1月~10月)には10.1%と、ついに2ケタに突入した。

   経営面でも軌道に乗り始め、ピーチは14年3月期決算で初の単年度黒字を達成。2期連続で黒字を維持している。ジェットスター・ジャパンも15年7~12月期で、初の営業黒字に。バニラ・エアも16年3月期決算で初の営業黒字化を果たしたとみられている。

   ただ、国内路線は競争も激しい。16年夏には楽天などが出資して、エアアジア・ジャパンの再進出も控えている。そのため各社は、さらなる成長を目指してアジア圏への路線拡大を進めている。

「ジェットスター」はマニラ路線開設

   運航開始からほどなくして国際線に進出したピーチは、現在、ソウル・台北・香港など東アジアの5都市に就航している。加えて今後は、那覇空港から東南アジア方面への新路線を開設する計画で、バンコク、ホーチミン、クアラルンプールといった都市名が報じられている。

   国際線4路線を運航しているバニラ・エアも、東南アジアを見据えている。台北を「第2の拠点」と位置づけて東南アジアの都市と結ぶといい、年内の就航を目指しているという。

   両社とも訪日需要に加え、日本からの乗り継ぎ利用を想定したものだ。

   15年2月に初の国際線となる大阪-香港線を就航させたジェットスター・ジャパンは16年4月、国内LCCとして初めてフィリピン・マニラ路線を開設した。現在は香港、台北、マニラの3都市に国際線を飛ばしている。

   春秋航空日本は15年秋に国内3路線のうちの成田-高松線を運休させ、16年2月から成田-重慶、武漢の2路線を就航させた。

香港エクスプレス「日本から香港経由で石垣島に行くのも選択肢」

   アジアへシフトする4社のライバルとして存在感を示すのが、アジア系LCCだ。LCCが乱立するアジア圏では、すでに激しい競争が繰り広げられており、日本にも続々と進出してきている。

   たとえば、アジアの主要20都市に就航している香港唯一のLCC、香港エクスプレスは香港と日本を結ぶ6路線(羽田、成田、関西、福岡、名古屋、広島)を運航している。2013年の就航(最初は羽田、関西の2路線)から2年で利用者100万人を達成した。

   6月には石垣、7月には高松、鹿児島への就航も控えている。「日本は香港の人たちにとっても特に人気の旅行先です。最近は東京や大阪といった大都市ではなく、地方都市に行きたいというニーズも高まっています。高松や石垣島への就航は、そんな需要にもこたえるものです」(同社広報担当者)。

   同時に日本からの乗り継ぎ利用の獲得にも力を入れており、ベトナムのビーチリゾート・ダナンなど日本のLCCが進出していない都市への低運賃フライトなどで需要を喚起する方針だ。

   ダナン線は成田からの直通便があるが、現状LCCの直通運航はない。同社便では、他にもタイのチェンマイやプーケット、カンボジアのシェムリアップなどへの乗り継ぎが可能だ。

   ようやく経営的に軌道に乗り始めた国内LCCだが、「東南アジア路線」拡大を目指す国内LCCと旅客獲得をめぐり激しい競争になりそうだ。

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