社会保障と景気対策のコスト増、「歳出」急激に膨らむ
歳出が税収などを上回る「財政赤字」が続くなか、政府は2013年8月に「当面の財政健全化に向けた取組等について~中期財政計画~」で、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、2015年度までに2010年度に比べて赤字の対GDP比を半減すること、2020年度までに黒字化すること、その後の債務残高対GDP比の安定的に引き下げること――の財政健全化目標を掲げた。
財務省がゲームで設定している「2020年度までの黒字化」は、この財政計画に基づいている。
じつはこのゲーム、公開されたのは国債・地方債の残高が500兆円を突破したばかりの2005年だった。財務省は、「(国の)財政の現状については、これまでパンフレットやホームページで広報してきましたが、今回、よりわかりやすく広報したいと考え、新たに『日本の財政を考える』のページを立ち上げました。ゲームはそのコンテンツの一つとして、財務省のページから移しました」と話す。「●●年までに」の部分を随時、更新していた。
「日本の財政を考える」では、「2016年度においても基礎的財政収支は相当程度の赤字となっていますが、今後、2020年度にかけて、経済成長により税収が伸びる一方、高齢化の進展により社会保障関係費も毎年度0.5兆円規模で急激に伸びることが予想されます」と、赤字がなかなか減らない理由を説明。公共事業をはじめとした景気対策で歳出が伸び続けたことも「赤字」の背景にある。
ゲームでも、おそらく思っている以上に「財政改革」は進まないと感じるかもしれない。「老後生活が大変だろうから...」などと温情をみせたり、教育は「日本の将来のため」と減額の対象から外したりすると、「歳出」は一向に減らない。一方、大増税しなければ「歳入」は増えない。
安倍政権の経済政策であるアベノミクスに停滞ムードが漂い、消費税率の10%引き上げも見送り論が台頭。なにやら混とんとしてきた中で、財布を預かる財務省にしてみれば、気が気でないのかもしれない。