新緑がまぶしい初夏、外出が気持ちのいい季節になった。カラフルなペデュキュアで足先をキレイに決め、サンダルやオープントゥパンプスをはいて開放感にひたりたいと思ったアナタ。
その白く濁った足の爪。「爪水虫」ではありません? 「水虫なんてオヤジの病気」と思うのは大間違い。最近、「爪水虫」が若い女性に増えていますよ。
「爪水虫」はかゆみの自覚症状がないから怖い
「水虫」は、「白癬(はくせん)菌」(水虫菌)と呼ばれるカビが、皮膚の角質層で繁殖して起こる感染症だ。「爪水虫」はそのカビが、シロアリが木材を食い荒らすように硬い爪の内部を浸蝕し、爪をボロボロにしてしまう病気だ。正確な統計はないが、水虫は日本人の5人に1人がかかっており、爪水虫はその半数がなるといわれる。10人に1人がかかっている計算だが、自覚症状がないため、悪化するまで気がつかない人が多い。
皮膚科の専門医のウェブサイトを見ると、爪水虫についてこう説明している。
(1)普通の水虫は、指の間の皮がむけたり、水泡ができたりして猛烈なかゆみをともなうが、爪の中に侵入するため、痛みやかゆみがほとんどない。
(2)感染初期は爪の表面に白い濁りが現れる。爪に白い筋が何本も通る場合もある。やがて白い濁りが黄白色、茶褐色と濃くなっていき、黒ずんでくる。
(3)爪の表面がボロボロとはがれ落ち、次第に爪が崩れてなくなっていく。
(4)水虫は塗り薬で治療できるが、爪水虫は、塗り薬が爪の内部まで浸透しないため主に飲み薬で治療する。飲み薬は市販されておらず、医師による本格的な治療が必要だ。爪が生え変わるまで最低6か月服用しなければならない。飲み薬でも効かない場合はレーザー治療などを行なう。
爪水虫は、水虫より治療は難しく、自覚症状がない分、水虫より厄介だ。爪の中が水虫菌の「秘密基地」になるため、素人療法で市販薬を塗り、いくら水虫を改善しても、次々と新たな水虫菌が出てくる。爪がほとんどなくなってから皮膚科に駆け込む人が多い。専門医たちは、女性に最近増えているのは、次の理由からだと指摘する。
(1)ブーツが人気となり、春夏にはく人も少なくない。ブーツの中は、高温多湿で水虫菌の格好の温床となっている。
(2)素足でサンダルを履く人が増え、水虫菌がうつりやすい。また、足を洗わず家に入る人が多い。家の中の暖房が水虫菌を棲みやすくしている。
(3)女性ならではの羞恥心から、水虫の段階で皮膚科を受診する人がほとんどいない。
「彼にも隠した、あの恥じらいの年月は何だったの!」
爪水虫に悩む女性たちのブログをのぞいてみた。
「お恥ずかしい話ですが、私は21歳で爪水虫です。父も母も水虫で、母が放置していたため、私も5年前から水虫を患っています。去年の秋、ついに爪水虫になりました。今年はサンダルをはけないことにショックを受けています。こんな状態が一生続くと思うとつらいので、明日、勇気を出して病院に行こうと思いますが、女性の患者は多いのですか? 病院の窓口では何といえばいいのですか? 医師や看護婦さんが引いたりしないでしょうか?」
「私は高校生の時から爪水虫でした。友人と海水浴に行っても、いつも足を見られないよう気を使ってきました。彼ができても、ソコは隠してしんどかったです。ある時、別の内容で皮膚科を受診し、問診表に記入したことがきっかけで、先生が『爪水虫ですね』と言ってくれました。治療を受けました! 治りました! あの恥じらいの年月は何だったんだろう! 私は47歳にして今、素足、裸足で外でも過ごしています。見て、見て! って感じですよ」
爪水虫を防ぐには、まず水虫を防ぐことだ。家族に1人でも水虫の人がいれば、家じゅうに菌をまき散らしている。同じタオルやバスマット、トイレスリッパを使うことは絶対やめよう。プールやスポーツジム、温泉施設のマットも菌の巣窟と心得よう。女性の場合、ブーツは毎日干そう。そして、少しでも足がかゆくなったら、恥ずかしがらずに皮膚科を受診することが何より大切だ。