魚の消化管の内容物が混入する可能性
ただ、原材料表示と違い、注意喚起表示はメーカー側の判断にゆだねられる。J-CASTニュースが取材した消費者庁食品表示課の担当者は「各メーカーさんは、原材料を取り扱う業者への聞き取り調査、アレルギーの検査キットを使った『スクリーニング検査』などで『注意喚起表示』をするかどうか検討しているようです」とメーカー側の動きを明かした。確かに魚を使った加工食品すべてに、えび、かにの混入を示唆する注意書きがあるわけではない。
そもそも、えびやかにを捕食した魚を加工して食べると、アレルギーの症状が出るのだろうか。
症状の有無には言及していないものの、考えるきっかけとなりそうな資料はある。厚生労働省の研究機関「国立医薬品食品衛生研究所」が08年に発表した「食品原材料中に含まれる『えび』、『かに』等の甲殻類タンパク質の実態調査」だ。
調査の中では、アレルゲンとなる甲殻類のタンパク質が魚を使った加工食品に多く含まれること、魚の種類や大きさによってタンパク質の検出量が大きく異なることが明らかにされている。
例えば、しらすやちりめんじゃこといったいわしの稚魚製品では全検体の約92%で甲殻類由来のタンパク質が検出された一方、すり身では約45%、海苔製品では約32%という結果になったという。
また、同じすり身の原材料でも、スケトウダラを使った場合は全検体の約18%しか検出されなかったのに対し、イトヨリダイだと約88%も検出されたようだ。
この結果については、「スケトウダラは比較的大きな魚体を、イトヨリダイは商品価値の低い小さな魚体をすり身の原材料として用いる。このため小型魚の方が消化管の内容物が混入する可能性が高い」と分析されている。