熊本地震で審議の延期が響く
そこに、4月14日に熊本で大地震が発生し、質疑の延期・短縮が相次いだ。さらに、19日の特別委で、野党の追及を受け、森山裕農相が、TPPについて国会が「守る」と決議した米や牛・豚肉など重要5品目について「関税に変更を加えていないものはない」と発言するなど、中身の議論でも波乱を予感させる状況になっていた。
こうした事態を受け、最終的に4月25日、自民党の谷垣禎一幹事長と公明党の井上義久幹事長の会談でTPP承認と関連法案を今国会では見送る方針を正式決定した。
選挙を前にすると、野党は対決姿勢を強め、政府・与党の政策的な弱点をいつも以上に徹底的に突いて追い詰めようとする。第1次安倍内閣時代に「消えた年金問題」を追及して参院で自民党を敗北させたのは、その典型だ。これに対し、与党は、極力対決を回避し、与党の政策の効果を実績として信任を求めようとする。「アベノミクスの成果」を訴えて圧勝した2014年の前回総選挙が、その成功例だ。