黒田総裁「サプライズ演出手法」の限界
いずれにせよ、市場の緩和期待を事実上、放置し、予想を裏切る「政策変更なし」で「ネガティブ・サプライズ」という大きな失望を与えたことは、市場との対話という点で、課題を残した。それは、この間、2014年秋の追加緩和(黒田バズーカ第2弾)、そして16年年1月のマイナス金利決定と「サプライズを演出することで市場を動かしてきた黒田総裁の手法の危うさと限界を示しているのかもしれない」(全国紙経済部デスク)との声もある。
安倍首相は5月末の伊勢志摩サミットで財政を含む政策協調をリードし、同時期に「一億総活躍」などの政策メニューをそろえ、熊本などの震災対応と別に、秋の本格的な補正予算を含む追加経済対策をまとめて、参院選に臨む方針とされる。このため、市場では「日銀も政府に歩調を合わせて今後は追加緩和に踏み切る」との観測も浮上している。
金融政策決定会合は昨年までの年14回から今年から8回に減らされ、次回は、5月がないので6月15、16日。7月10日投開票とみられる参院選が公示される6月23日の1週間前に追加緩和できるか、はたまたそれより前、5月中などに臨時の決定会合を開いて実施に踏み切るかなど、日銀と政治の距離も絡み、市場の憶測を呼びそうだ。