パジャマに火がつくと瞬時に燃え広がる ワコール、「表面フラッシュ」で自主回収急ぐ

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   ワコールホールディングス(HD)の子会社が販売したパジャマの一部で、生地の表面の「毛羽(けば)」に火がつくと瞬時に燃え広がる「表面フラッシュ」と呼ばれる現象が起こる可能性があるとして、自主回収を進めている。自主回収を発表してから1か月が経つが、まだ販売した分の15%しか回収できていない。

   このパジャマが原因でやけどをした人はまだ確認されていないが、ワコールでは改めて注意喚起して回収を急ぎたい考えだ。

  • ワコールではパジャマ5種類の自主回収を進めている
    ワコールではパジャマ5種類の自主回収を進めている
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1か月で販売枚数の15%しか回収できず

   回収の対象になっているのは、子会社「ウンナナクール」が14年10月に発売した「グラデーション裏毛パジャマ」と15年11月に発売した「裏毛裏起毛ボーダー&スキーヤーパジャマ」、計5品番・10135枚。「表面フラッシュ」とは、生地の表面の毛羽に火がつくと、毛羽から毛羽へ非常に速いスピードで、瞬時に火が走る現象だ。ワコールによると、同社が定める品質基準以上に「表面フラッシュ」が発生する可能性が高いことが分かったという。

   ウンナナクールでは、16年3月29日にリコール(自主回収・返金)を発表し、消費者庁などにも届け出たが、4月25日までに回収できたのは全体の約15%にあたる約1500枚にとどまっている。そのため、同日付で改めて自主回収を発表している。すでに回収対象このパジャマで「表面フラッシュ」はが6件発生したが、いずれも発火直後の消火に成功したため、負傷者は出ていないという。

過去には髪の毛が焦げるなどした事例も

   「表面フラッシュ」が問題になるのは、今回が初めてではない。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の「事故情報データベース」によると、1996年度以降11件の「表面フラッシュ」をめぐる事故が記録されている。

   例えば07年には、ワコールとは別のメーカーが輸入したパジャマで

「パジャマを着用してガスこんろで調理中に、焦げ臭さと熱気を感じてパジャマを脱いだところ、袖から身頃前上部半分が変色し、髪の先端が焦げていた」

といったアクシデントが発生。原因は

「パジャマにガスこんろの火が触れ、表面フラッシュ現象が発生し、パジャマと髪を焦がした」

と推定されている。このパジャマには、表面フラッシュに関する注意表示はあったが、文字が小さいなど気付きにくいものだったため、その後は注意喚起の文言を目立ちやすくするなどの対応が行われた。

   それ以外にも、過去には

「調理中にガスこんろの火が、着用していたトレーナーに着火し、炎が広がり、髪の毛が焦げた」(2004年、トレーナー)
「パジャマを着用してガスレンジに着火したところ、袖口が炎に触れた瞬間、表面フラッシュが起こった。あわてて消火しようとしたが反対の袖にも移り、夫の手を借りて消火した」(2000年、パジャマ)

といった事例があるが、いずれも「髪の毛が焦げた」といった程度で済んでいる。

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