【意外とバズったJ-CAST記事(1)】今日のこの記事は、いつもより多くの読者に見てもらえるのでは?――そんな記者の期待もむなしく、あまりPVが伸びなかった記事もある一方、少し地味(?)な思わぬ記事が、フェイスブックで数千~1万件超もシェアされるなど、バズる(話題になる)ことも。
J-CASTニュースで2016年1月以降に配信したニュースのうち、書いた記者もビックリするほど「意外とバズった」ネタを、担当記者本人が振り返り、その理由を分析、短期連載でお届けします。
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タレントの清水国明さん(65)が熊本地震が起きた機会に仮設住宅を批判し、トレーラーハウス利用を訴えていることを紹介した記事が、地味な話題にもかかわらず大反響を集めた。それは、清水さん自身が語ったことの為せる業だった。
J-CASTニュースの記事
「被災者の仮住まいに『トレーラーハウスを』 清水国明氏が『仮設住宅』を批判する理由」
は、2016年4月19日に配信されてから、フェイスブックのシェアを徐々に伸ばした。
「次の震災で使える」「安いイメージが全然ない」
評判が評判を呼び、その後に飛躍的にシェアが増え、とうとう週明けの4月25日には1万件を突破した。
直接取材に応じた清水さんは、仮設住宅が「隣の音も聞こえるほど粗悪な住宅が多く、金や時間の無駄」なこと、対してトレーラーハウスは「冷暖房完備なうえ、窓が2重ガラスで、床暖房もある」ことを語った。取り壊さないといけない仮設住宅に比べ、全国に備蓄して普段はレジャー用などに使えるメリットも挙げている。
その内容が新鮮に映ったようで、ネット上では、「確かに良い案だ」「次の震災で使える」と賛同の声が多数書き込まれた。
宮城県内でトレーラーハウスに泊まったことがあるというトラベルデザイナーのおそどまさこさんは、「清水さんの意見に賛成です。トレーラーハウスは、移動できるし、建てる時間がいりません」とツイートした。また、キャンピングカーで在住先の米国内を旅行していたというロバーツ原口ともこさんも、「ホントに居住性もいいです。プライバシーを確保できない、作っては壊す仮設住宅より何十倍もいい」とフェイスブックで明かしていた。
一方、疑問の声もそれ以上に多く、「安いイメージが全然ないけどねぇ...」「メンテ代は年間いくらかかるんだ」「平時に誰がどう管理・活用するかだよ」といったコメントが多数の支持を集めていた。
こうした声について、清水国明さんは、4月26日、あらためて取材に応じてこう説明してくれた。
「仮設住宅と値段は同等でも、メリットは大きい」
「トレーラーハウスは、平均で750万円ぐらいします。ピンキリで安いものもありますが、お風呂やトイレなどライフラインがしっかりした造りでないといけないからです。確かに、仮設住宅は、300~400万円で作ることができ、壊すときも同じぐらいの値段です。しかし、設備が粗悪で、やはりお金の無駄遣いだと思います。これに対し、トレーラーハウスは、すぐに提供ができ、災害復旧が進めば引き揚げられます。値段は、同等かもしれませんが、メリットは大きいと考えています」
メンテナンス面でも、トレーラーハウスは牽引するので車検はいらず、光熱費や水道代なども普通の家と変わらないと清水国明さんは言う。
平時に備蓄している間も、防災の体験施設にしたり、スポーツ合宿の宿舎にしたりと様々な使い道があるとしている。
フェイスブックで記事が多数シェアされたことについて、清水さんは驚きながらも、こう明かす。
「ちゃんと分かっている人がいるということではないですか。アメリカでは、何万台、何十万台も備蓄して、貨物列車に載せて被災地に送っています。日本は、備えをしていない唯一の先進国と気づき始めたのだと思います。疑問の声も多いということですが、議員や政府も理解し始めており、実際に水面下で導入が進んでいますので、いずれ分かってくれるのではないでしょうか」
熊本に3台が運ばれ、障害者も利用へ
清水国明さんは、山梨県河口湖町で日本初の災害時出動型という「RVパーク」の運営に関わっており、熊本地震では、ここに備蓄してあるトレーラーハウス10台を順次被災地に運ぶ計画を立てている。
清水さんによると、熊本県や県内各市町村と協議をして、2016年4月20日にうち1台を移送し、長野県内にもあるRVパークからも2台が被災地入りした。被害が甚大な益城町で1台が災害対策本部の一部として使うことが検討されているといい、残り2台は障害者支援施設の要望で熊本市内に置かれた。避難所に入れない障害者が使う予定という。実現すれば、トレーラーハウスが今回の地震で仮住まいになる初のケースだ。
今後も、山梨のパークにある残り9台のほか、東北地方からも28台が、ゴールデンウィークの終わりごろから順次運び込まれる見込みだという。
今回の試みについて、清水さんは、こう話す。
「国や各自治体にトレーラーハウスの存在に気づいてもらうためのデモンストレーションです。激甚災害の指定で見込まれる予算で、例えば1000台とかを手配してくれればと思っています。おかげさまで、全国から私どもへの支援金も集まりつつあります。赤十字などの『義援金』は、時間が経たないと被災者には届かず、それだけでは被災地には役立ちません。『支援金』ならすぐに活動に使えますので、もっとトレーラーハウスを被災地に運べるようにしたいですね」