高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
都知事「豪華海外出張」問題の本質 舛添氏の「反論」への疑問点とは

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「都市外交」がどこまで成り立ちうるか

   実は、うまく事前にスケジュールを組めないという点にこそ、本質的な問題が隠されていると筆者は考える。つまり、舛添知事のいう「都市外交」がどこまで成り立ちうるかということだ。舛添都知事は、地方自治体であっても「外交」すべきという持論をもっている。自らの語学力を生かしたいという気持ちもあるだろうし、これまで学者生活や国政で、舛添氏の売りは「外交」であった。猪瀬直樹・前都知事のあと急遽、舛添氏は都知事になったわけだが、筆者は一種の場違いなものを感じた。

   いうまでもなく、外交は国レベルで行うもので、地方自治体はそもそも「外交」を行う主体でない。いくらこちらが叫んだとしても、相手国でも地方自治体に「外交」を認めるわけもなく、せいぜい「友好都市」レベルの話である。

   であると、海外訪問するといっても、相手国の都市も最優先事項ではなく(相手の事情でアポイントメントはキャンセルされる)、スケジュールは組みにくい。このため、必要以上の経費がかかっているのだろう。

   舛添知事の「都市外交」は、やりたくても、実行するための基盤ができていないのだ。「都市外交」そのものについて意見はいろいろあるだろうが、筆者としては理念が素晴らしくても、それが実行できなければ意味は乏しいと思う。特に、相手の事情を考えると、訪問されるのは悪い気はしないが、「外交」しようといわれると気が引けるだろう。

   庶民感情から、海外出張費が高いという背景には、地方自治体で行うべき優先事項に外交が入るか、という根本論がある。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)、「中国GDPの大嘘」(講談社) など。


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