電池を使わないで遊べるピンボールゲームの「バトルドーム」が、熊本地震の後、にわかに話題になっている。
2回の震度7の地震に加えて、今なお800回を超す余震に見舞われ続けている熊本地震。熊本空港や九州新幹線、九州自動車道が少しずつ動き出し、2016年4月23、24日の週末には多くのボランティアが現地入りした。そうした中で、子どもたちの「心のケア」のための活動もはじまっている。
電池も電源も要らないから...
熊本地震の発生から10日以上が過ぎるなか、子どもたちが通っている幼稚園や小・中学校ではなお休校が少なくない。友だちとの勉強や遊びもままならず、避難所の生活で居場所もないとなると、懸念されるのが子どもたちのストレス、心のケアの問題だ。
子どもたちの中には、繰り返される余震におびえたり、小さな物音にも過敏になり、夜も眠れなかったりする子どもがいるという。
被災地では、避難所で暮らす子どもたちのストレスを発散させ、安心感を与え、リラックスできるようにするため、ボランティアなどが小学校の空いている教室を開放して映画の上映会を催したり、「遊び場」を設けて、いっしょに遊んだりする活動がはじまっている。遊び道具も、全国から続々と寄せられている。
そうしたなか、注目されているおもちゃが「アメリカン バトルドーム」だ。2~4人で遊ぶ、対戦型のピンボールゲームで、インターネットには、テレビのニュース番組が報じた「バトルドーム」で遊んでいる子どもたちの姿の映像が出回り、ツイッターなどで拡散している。
インターネットには、
「まさかのバトルドームだなwww 超なつかしいわ」
「これって電池も電源も要らないらしいですね。被災地に選ばれた理由かも」
「停電の影響でバトルドームがアツいらしいぞ!」
と、なつかしがる声などが多数寄せられている。 なかには、
「なにこれ。知らないよwww」
「バトルドームやったことある人少ないんじゃね。子供にはかえって新鮮なのかもなぁ」
といった声も。なにやら新たなファンをつかみそうな気配もある。
テレビ朝日(ANN)系によると、熊本市の白山小学校にある「バトルドーム」は地域住民が寄付したもののようだ。
東日本大震災のときも似たようなことが...
「アメリカン バトルドーム」は、1994年にツクダオリジナルが米Anjar社からのライセンス供与を受けて発売した。上部から玉を入れると、ゼンマイ仕掛けで定期的にボールが落ちる。自分のゴールに玉が入らないようにフリッパーで打ち返して、玉がすべてゴールに入った時点でゲームが終了する。
発売当初は、「超!エキサイティン!」のハイテンションなセリフが強烈なインパクトを残すテレビCMが話題になった。
一方、販売元のツクダオリジナルは、オセロゲームやルービックキューブ、スライム、エアー圧縮型水鉄砲「エアーウォーターガン」シリーズなどのロングセラー商品を抱えていたが、テレビゲームなどに押された影響もあって2002年7月にバンダイ(現バンダイナムコ)の傘下に入った。しかし、2003年4月に倒産。現在、事業の一部をバンダイの子会社、メガハウスが引き継いでいる。
メガハウスによると、「バトルドーム」は2010年7月に、新たにボールの色で点数を競う「アクション バトルドーム」を発売したが、現在は販売を中止。「販売店などに残っているだけです」という。過去の販売状況についても、「(ツクダオリジナルの販売当時の実績については)権利関係もあって、こちらでは公表していません」と話す。
インターネットには、「バトルドーム」のそんな変遷を知っている人たちからか、
「被災地の子どもたちの『心のケア』にバトルドームが使われるなんて... ツクダオリジナルも空の向こうで超エキサイティンしていることでしょう」
「相手のゴォォルにボールをシュュウゥゥトォ! 超!エキサイティン!! ツクダオリジナルは生きているさ、みんなの心の中でな!」
などの声がみられる。
メガハウスは、「じつは東日本大震災のときも似たようなことがありました」と漏らす。子どもたちのおもちゃに、オセロゲームなどの誰でも手軽に遊べるゲームへの要望が多く寄せられたそうで、「バトルドーム」にも感慨深げな様子だ。