日銀「(銀行は)去年もたくさん収益を上げています」
だが、マイナス金利2カ月がたち、実体経済への効果には疑問の声が高まっている。ただでさえ低かった金利が一段と下がり、住宅ローン金利の低下を追い風に、住宅購入を検討する客が増えているというものの、こうした恩恵を受ける業界は限定的だ。アベノミクスを象徴する円安・株高の基調は反転し、好調だった企業収益も頭打ちが明らかになりつつある。
一方、日銀の黒田東彦総裁は、批判を意に介さず、強気の姿勢を崩していない。4月13日、米ニューヨークで行った講演では、「(マイナス金利政策は)近代の中央銀行の歴史上、最強の金融緩和スキームだ」と自画自賛したばかりだ。また、マイナス金利政策への理解を深めるためにホームページに「5分で読めるマイナス金利」というQ&Aコーナーも設けているが、その中で、「銀行が損しない?」との問いに、「(銀行は)去年もたくさん収益を上げています」「日銀の預金でもマイナス金利にするのは一部だけにして、あまり銀行が困らないようにしました」と回答している。
これには、「銀行はもうかっているから少し困らせてもかまわないということか」(メガバンク幹部)と、銀行側の怒りを増幅している。