卵 「高コレステロール」の冤罪が晴れた 長寿日本の栄養を支えた「大恩人」復活

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   かつて「巨人・大鵬・卵焼き」という言葉があったほど、卵は国民的な人気の高い食品だった。また「物価の優等生」とも言われ、安い価格で戦後の日本人の栄養を支えてきてくれたのに、近年のダイエットブームの影響を受け、「高コレステロール」の元凶とみられ敬遠されていた。

   ところが最近、「卵の無実」を明らかにする研究が相次いでいる。毎日卵を食べてもコレステロールは上がらず、糖尿病や動脈硬化の発症リスクも上昇しないという。「ナマ卵ご飯」が大好きなお父さんに朗報かも。

  • 無実が晴れた卵。安心して食べよう
    無実が晴れた卵。安心して食べよう
  • 無実が晴れた卵。安心して食べよう

卵を毎日食べても糖尿病・心臓病のリスクは上がらない

   卵にはタンパク質や脂質に加え、カルシウム、鉄分、ビタミンB群など多くの栄養素がまんべんなく含まれている。しかし、卵1個にはコレステロールが約250ミリグラム含まれている。日本の糖尿病の治療ガイドラインでは、1日のコレステロール摂取量は300ミリグラム以下と指導されている。ほかの食事のコレステロールを考えると、卵1個を食べると1日の摂取量をオーバーする心配もある。そこで、糖尿病の食事療法では「卵はできるだけ食べないこと。食べる場合は1日に1個以下」と指導されるケースが多かった。

   こんな「卵は高コレステロールの悪玉」イメージが一般にも広まり、様々なダイエット方法の中では、特にさける食品の1つにランクされる場合が多い。ちなみに、「健康な人」の1日のコレステロールの摂取基準は、男性で750ミリグラム、女性で600ミリグラム(厚生労働省の『日本人の食事摂取基準』)だから、もともと卵の1日1~2個はそれほど心配する量ではないのだ。

   2016年3月、スウェーデンの世界的な医学研究所であるカロリンスカ研究所が、卵を食べると本当に糖尿病の発症リスクが高まるかどうかを調べた研究を国際糖尿学会誌「Diabetologia」に発表した。

   研究チームは、49~79歳の男性3万9610人を対象に、他の食べ物の影響を除外して、卵を食べる量と糖尿病の発症リスクとの関連を15年間追跡した。期間中に4173人(10.5%)が糖尿病を発症した。その結果、卵を週に1個未満しか食べない人と比べると、糖尿病の発症率は、(1)週に1~2個食べる人は逆に2%減(2)週に3~4個は11%増(3)週に5個以上は(2)と同じ11%増だった。

   卵の消費量が増えるにつれて発症率が増加するとはいえず、また、増加率の幅が小さいため、統計学的には関連性がなかった。

   2013年に米ハーバード大学と中国の華中科技大学の合同チームが発表した研究でも「卵を1日1個以上食べても、血中のコレステロール量はほぼ一定に保たれ、心臓病や脳卒中のリスクは増加しない」という結果が出ている。

姉妹サイト