すぐ薬局に駆けつけて毎日飲むのはやめた方が...
日本でも2014年に国立がん研究センターと京都府立医科大学のチームが、約300人の大腸がんの患者の臨床試験で、アスピリンを服用するとがんの再発率が4割抑えられる結果を発表している。さらに、アスピリンの効果を詳しく調べるため、同じ合同チームが厚生労働省の研究班の中心となり、2015年11月末から全国で約7000人の患者を対象に大規模な臨床試験を開始した。
臨床試験では、アスピリンの1種である「バイアスピリン」(独バイエル薬品)を4年間、毎日1錠飲んでもらい、効果を検証する。ちなみに試験に使う「バイアスピリン」は医師の処方が必要で、市販されていない。
アスピリンには、鎮痛とともに臓器の炎症を抑える作用があり、これが大腸がんの予防につながっているとみる専門家がいる。アスピリンは市販薬を含め現在、世界で年間1000億錠が使われる非常になじみのある薬だ。
「よし、さっそく薬局に行ってアスピリンを買い、毎日飲もう!」と考える人が多いかもしれない。しかし、研究チーム代表の石川秀樹・京都府立医科大特任教授は、複数のメディアの取材に対し、「臨床試験に使う薬は市販薬とは成分が違う。アスピリンは副作用の恐れがあるし、人によって効き方が違う。自己判断で飲むのは絶対避けてほしい」とコメントしている。