解熱鎮痛剤として使用されているアスピリンに大腸がんを予防する効果があるとして、米政府の専門家諮問機関である米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)は2016年4月12日、「50歳代になったら、毎日アスピリンの服用を」と呼びかける勧告を発表した。
アスピリンの「大腸がんの予防効果」については日本でも厚生労働省が大々的な臨床試験を始めたばかり。ただ、副作用の心配があるため、自己判断で服用するのは禁物だ。
50~60歳の男女に「1日1錠、毎日服用」を推奨
アスピリンについては、欧米では1990年代から「アスピリンを長期間服用している人に大腸がんが少ない」という研究が相次いでいた。2016年3月にもアスピリンと週2回以上6年間服用すると、大腸がんのリスクが19%減るという研究が米医師会誌に発表されたばかり。
今回のUSPSTFの勧告は、こうした多くの研究を精査したうえでの決定で、「50~60歳の男女が1日に1錠(81ミリグラム)のアスピリンを毎日服用すること」と推奨している。ただし、50歳未満や70歳以上では大腸がんリスクが減少する科学的根拠はなく、また、アスピリンを服用する際も「(副作用で)出血するリスクが低い人」「平均余命が10年以上あると推定される人」などの健康条件をつけている。