総計2兆円を超える
さらに波及効果を計算する。直接効果が増えれば、それにかかわる原材料などの売り上げが増加する。例えば、ペットショップでキャットフードの売れ行きが伸びれば、キャットフードを作っている企業の売り上げが増え、キャットフードを入れるナイロン製の袋を製造している企業の売り上げも伸びる。加えて、ペットショップの収入が増えれば、経営者や従業員の給料も上がり、給料が上がれば、消費も増える。こうした効果をすべて推計すると、猫がもたらす経済効果は総計2兆円を超えるというのだ。
ちなみに、猫とは別の経済効果と規模を比べてみよう。東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを合わせた東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)は経済効果が年間1兆円前後とみられ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)は年間約5000億円とされる。猫の経済効果はこれら国内2大テーマパークの2~4倍という計算になる。また、2020年東京五輪の経済効果は、東京都などの試算では、建設業にかかわる約4700億円などを含め、2013~20年で計約3兆円というから、猫がもたらす年間2兆円超という数字が、いかに大きいかがわかる。
最近の猫ブームは、「たま駅長」人気から徐々に全国に拡大し、不景気や世の中の不透明感を背景に「猫にいやされたい」という思いの広がりが押し上げてきた、との見方が強い。犬の飼育数が増えない中、猫の飼育数は増え続け、今年中に猫と犬の飼育数が逆転する見通しとも言われている。ネコノミクスはさらに巨大化する可能性が高い。