平静を取り戻したプロ野球を冷静になって見ると、気になる選手の動向が知りたくなる。松坂大輔と斎藤佑樹。どうしているのだろうか。
松坂のピッチングを見たかったファンは多い。「今年こそ」と期待したのは全国にいた。
増えつつある厳しい声
2016年4月20日、中日との2軍戦で先発した。内容は2回を投げ、4安打、2失点。良くないのは数字が示している。2軍でも通用しなくなった、ということなのか。
「球が高かった」
「修正できなかった」
松坂の話である。自信さえ失ってしまったのか、と思うコメントだ。
大リーグに見切りをつけ、14年にソフトバンクのユニホームを着て以来、1度も1軍の試合に登板していない。
同じ日、同じ大リーグからの出戻り投手、和田が完封勝利を挙げた。松坂にとってこれほどつらいことはないだろう。
日本球界の条件は「3年、12億円」の契約だった。年俸4億円である。松坂にとってもこれが重くのしかかっているはずで、厳しい声が増えつつあるのは仕方がない。
大リーグではとっくに「契約解除」されている。松坂はレッドソックスを去った後、他球団と契約しては解除をくり返してきた。ソフトバンクの温情は身にしみていることだろう。
「甲子園のヒーロー」
もうひとりの斎藤も先が見えない。2軍で登板しているものの、満塁本塁打は打たれるわ、打球を受けては降板するなど、いい話がない。投球回数を上回る安打を打たれている。
斎藤は今シーズン、投手生命を賭けて臨んだはずだ。オープン戦からチャンスは何度か与えられたが、それを生かすことができなかった。斎藤を理解している栗山監督も苦しい状態にある。
「使うのが怖い」
これが首脳陣の本音だ。つまり、先に点を取られる確率が高いから、常に劣勢でチームが戦うことになる。どうしても打線の信頼が得られない。3イニングでもピシャリと抑えることができれば、使い道は多くなる。
もたもたしている間に、早大の後輩、有原航平の評価が高くなった。斎藤にとって、たまらない現状である。有原は昨(15)年の新人王で、有力な先発として信頼が高まっている。
松坂と斎藤の共通点は「甲子園のヒーロー」である。
昔の話には違いないが、ファンはやはり気になる存在で、マウンド姿を見ることができれば、大きな拍手を送る。松坂は「平成の怪物」と呼ばれ、斎藤は「ハンカチ王子」とアイドル人気で注目された。
そんな財産を2人は持っている。1軍登板すれば、間違いなく観客動員に結び付く。さて、その日は...。